マジックワード「もうちょっと教えて」で子どもから学ぶ

そこで、「我が子から学ぶ」ときのマジックワードは「もうちょっと教えて」です。さっきのゲームでしたら、「このゲームのおもしろいところ、もうちょっと教えて」「すこしやらせて。やり方教えてくれる?」といった声かけです。

庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)
庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)

「教えて」と声をかけることで、自然と横の関係を作り、おもしろがることができます。

そこで、やった感想を話します。

「ただのゲームだと思っていたけれど、とても勉強になるね」
「ボスを倒すためには、計算もしなきゃいけないんだね」
「思ったより奥が深かったよ。おもしろかった」

言われた我が子はどうでしょう。

きっと、いい気持ちになるでしょう。少なくとも悪い気はしないはずです。

ゲームを肯定されたと思うだけでなく、自分自身を肯定されたと思うでしょう。そのような声かけが、子どもの自己肯定感を育んでいきます。

純粋に子どもから学ぶ気持ちを持つ

そこで大切なことは、「やめさせたい」という思いを前面に出さないことです。とにかくやめさせたいから怒らずに伝えているのだと、我が子はすぐ気づきます。

言葉よりもマインドセット(心の持ち方)が大切。

純粋に子どもから学ぶ気持ちで「もうちょっと教えて」と伝えましょう。「もうちょっと教えて」と言いながら、興味をもって見る。やりすぎることが、心配であることを伝える。我が子と一緒に、我が子中心でルールを決める。ルールを守れているときに、子どもを認める。

やめる習慣ができるまで、横の関係でおもしろがり、学んだことを伝え続ける。

「我が子なら大丈夫」という、愛を伝えながら我が子から学ぶだけで、関係性はがらりと変わっていきます。

庄子 寛之(しょうじ・ひろゆき)
ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター 研究員

大学院で臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とし、東京都内の公立小学校に約20年勤務し、「先生の先生」として全国各地で講演も行った。学級担任として接した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。2023年度よりベネッセ教育総合研究所に所属。『子供が伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)、『教師のための叱らない技術』『withコロナ時代の授業のあり方』(ともに明治図書出版)、『オンライン学級あそび』(学陽書房)など著書多数。