子どもに合った環境を整えるには家庭と学校が協力し合うことが大切

いま挙げた3つの例は、いずれも「授業や学習環境」と「子どもの特性」が合っていないというパターンです。子どもが教室を飛び出すことには、じつはそのような「相性の悪さ」が影響していることもあります。子どもが教室を飛び出すことが悪いわけではなく、先生や親のやり方が悪いわけでもなく、相性が悪いのです。

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写真=iStock.com/benidio
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私は発達障害や知的障害の診療を通じて、そのような例をたくさんみてきました。私は専門家なので、先ほどの3つの理由を意識しながら子どもをみることができますが、学校の先生がそこまで細かく観察することは難しいかもしれません。

本田秀夫『学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』(SBクリエイティブ)
本田秀夫『学校の中の発達障害 「多数派」「標準」「友達」に合わせられない子どもたち』(SBクリエイティブ)

障害のある子の支援を長く経験している先生は、3つの理由を意識することで対応しやすくなると思いますが、支援にまだ慣れていない先生は、対応に悩むこともあるでしょう。

その場合には先生と親がよく連絡をとり合い、支援にくわしい専門家の意見も聞きながら対応していくことをおすすめします。子どもに主治医がいる場合には、主治医に相談するのもよいと思います。私も学校関係者からの相談を受けることがあります。

「相性の悪さ」がある場合には、誰か一人だけが工夫をするのではなく、全員でその状況を理解し、協力することが大切です。この本では、そのように家庭と学校が「協力すること」の大切さを伝えていきたいと思っています。家庭と学校が協力し、子どもに合った環境を整えていけば、「相性の悪さ」は軽減していきます。

本田 秀夫(ほんだ・ひでお)
信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長

特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事。精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より、信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長。2018年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会理事。著書に『自閉症スペクトラム』『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』(ともにSB新書)などがある。