3パターンに当てはまる子は発達障害や知的障害かもしれない
実は先ほどの3つのパターンは、発達障害や知的障害と関連しています。発達障害や知的障害を理解しておくと、先ほどのような例にも対応しやすくなります。
1 授業の内容がわからない
発達障害にはいくつかの種類がありますが、1つ目の例は「学習障害(LD)」の子に見られるパターンです。「知的障害」の子にも見られます。
学習障害や知的障害の子は、ものごとを学ぶときに平均的なやり方・平均的なペースでは学びにくい場合があります。授業の内容や方法、ペースなどが子どもに合っていない場合、その子は「難しすぎて参加できない」という状態になることがあるのです。
この場合、授業の内容をわかりやすく調整したり、読み方・書き方を変えたりすると、子どもが参加しやすくなることもあります。学習障害や知的障害を理解することによって、対応のヒントが見えてくるかもしれません。
2 授業の内容に興味が持てない
2つ目は「自閉スペクトラム症(ASD)」の子に見られるパターンです。自閉スペクトラム症には「こだわりが強い」という特性があります。その特性が強い子は、特定のものごとに強い興味を持つ一方で、それ以外のことにはほとんど興味を持たないことがあります。そのため、興味を持てない授業には集中できていないことがあるのです。
この場合、その子の好きな分野や得意なやり方を授業に少しとり入れると、集中できるようになることがあります。
3 衝動に負けてしまう
3つ目は「注意欠如・多動症(ADHD)」の子に見られるパターンです。ADHDの特性の一つに「多動性・衝動性」があります。
その特性が強い子は、「授業中に立ち歩いてはいけない」とわかっていても、何かに気をとられて、つい衝動に負けてしまうことがあります。注意がそれやすいところがあるのです。
この場合、掲示物を減らしたり、カーテンを閉めたりすることで、子どもが余計なものに気をとられなくなり、授業に集中しやすくなることがあります。
なお、複数の理由がからまり合っている場合もあります。発達障害の特性は重複することがあり、「こだわりの強さ」と「多動性・衝動性」がどちらも見られる子もいるのです。その場合、興味のない授業では衝動性が出やすくなったりします。反対に、興味のある授業には集中できたりもします。複数の特性が見られる場合はどちらも理解し、対応していく必要があります。