「パープルがあったら即決なのに」というつぶやきに神対応

また、象印が「本気で勝負に出た」と感じてもらうためには、女性を中心に、消費者の間で話題にしてもらう必要があった。

そこで、ホームセンターや家電量販店などの一般ルートとは別に、おもにロフトなどの雑貨店ルート用に「特別カラー」を4つ用意したとのこと。

それが、先ほどとは別のピンクと、ブルー、グリーン、そして「パープル」。これらは、アイシャドウからインスピレーションを得て再現された色だそう。その後、さまざまな商品開発やデザインの変遷を経て、22年9月に発売された商品のパープルこそ、のちにツイッター上で「めろうさん」の希望をかなえるのに役立った色でした。

ではその、めろうさんと象印の社員とのツイッター上のやり取りをご紹介しましょう。

このつぶやきは、22年8月になされたもの。実はその2年前(2020年10月)、めろうさんは「パッキンが一体型になったありがたい象印のボトルにパープルがあったら即決なのに……」とつぶやいていました。

これに対し、象印は公式アカウントから、なんと2年越しで返信した。

「こんにちは! この度シームレスせんに新しいカラーバリエーションが仲間入りしました」「ご期待に応えられていたらよいのですが……! お時間のある時に、ぜひご覧ください」

これを読んだめろうさんが、先のように大興奮。その結果、同ツイートはツイッター上で大いに話題となり、22年10月現在、11万7000件の「いいね」、3万2000件のリツイートを獲得したのです。

ツイッター担当はいない

意外なことに、象印には「ツイッター担当」など、SNS専任の社員はいないそうです。ただ、「普段から検索ツールなどを使って、新たな関連ツイートがつぶやかれたときに、複数の部署で共有しています」と、同広報部・濱田捷彦さん。

数年前のツイートも、特徴的なものは担当者が引き継ぎ、「象印らしい」つぶやき、すなわち優しさや温かみ、堅実さを感じてもらえるつぶやきを返すように心掛けているとのこと。

なぜそこまで、消費者の声を大切にするのか。その陰には、シリーズの改良に関する、いくつかの失敗があったといいます。