3つの傾聴ステップで仕事が回る、指示待ち部下が変貌する
部下が動かない、仕事がうまく回らない……原因はリーダーの傾聴力不足かも。「聞いているつもり」を検証して、部下の話に正しく耳を傾ける上司になる。
【step 1】「聞く」とは何かを理解しよう
相手を理解するには、話を聞くことしかない
「傾聴」とは能動的に人の話を聞くことで、その人を理解し、認める行為にほかならない。相手の承認欲求が満たされると、聞き手との間に信頼関係が生まれる。
相手を理解するために話を聞く「傾聴」は、2つの要素から成り立つ。ひとつは言葉によるメッセージを受け取り、話の内容を理解すること。もうひとつは話し手の表情やしぐさ、声のトーンなどから非言語の情報を受け取り、相手の感情や心の状態も一緒に受け止めることだ。
漫然と聞いているのとは違い、相手に意識を集中しないと聞きもらしてしまうためエネルギーがいるが、上達すると観察力がアップし、話を聞くだけで、部下のコンディションがわかるようになる。僅差でも普段と様子が違うことに気づければ、声かけなどのサポートができ、トラブルを未然に防ぐことにもつながる。
【step 2】基本の「傾聴ポーズ」をマスターしよう
傾聴ポーズを整えて、話し手への興味・関心を
忙しい最中に話を傾聴するには、マインドとともにポーズも切り替えると、聞き手のスイッチにもなり、話し手に興味・関心が伝わって効果的だ。まずはそれまでの作業をいったん中断し、相手に意識を向けるために顔と体を相手のほうに向けること。腕や足を組んだり、手を握ったり、頬づえをついたりすると聞いていない印象を与えるので、両手は軽く開き、脚も自然にそろえておく。
目線は合わせるのが基本だが、あまりまともに目を見つめると緊張するので、鼻のあたりを温かみのあるやさしいまなざしで見ること。オンラインの場合は、カメラ位置を調整し、相手を見下ろす感じにならないように注意してフラットな関係性をくずさない心がけを。不思議なことにポーズを整えるだけで相手の話が弾み、充実した時間が共有できる。
【step 3】傾聴の初歩テクニックを学ぼう
相手に好奇心を持ち、コントロールを手放す
話を聞きながらも自分の都合ばかり考えていると相手は聞いてもらった気がしない。相手の視点に立って傾聴するには、相手を尊重し、好奇心を持つことだ。まず話の内容をジャッジしないこと。途中で意見がある場合もひとまず横においておき、話の途中で口を挟まずに最後まで黙って耳を傾ける。相手を観察し、非言語のメッセージにも注意を払い、感情の推移にもついていく。話を聞いている間はしかるべきタイミングで相づちを打ち、聞いていることを態度で示すことも忘れずに。慣れないうちは「意識は相手に」「ジャッジしない」など傾聴のキーワードをメモにして手元におき、確認してから話を聞くとよい。
人の話を集中して聞いていると、思いもよらない考え方に出合えるし、課題を解決するヒントをもらうことも多々ある。「違うな」と思うことの中にさえも、得るものがある。傾聴は話す人だけでなく、聞く人の世界も豊かに広げてくれる技術なのだ。