人の話を最後まで黙って聞けない理由
「つい人の話の腰を折ってしまう、最後まで話を聞けない」という場合、原因は自分にばかり意識が向いていることにあります。人は話を聞くとき、この話は自分にとってどんなメリットがあるか、正しいかどうかに気を取られているのです。つまり、黙って人の話が聞けないのは、「自分本位」な聞き方をしているからなのです。
ですが、相手のことを理解するために相手に意識を向けると、最後までしっかりと話を聞くことができます。相手の視点に立つことで理解も進みますし、傾聴の姿勢で話を聞いてもらった人は「自分は受け入れられている」と感じ、聞き手に対する安心感が増すものです。こうした「聞き方」を身につけることで、上司と部下の間に信頼関係が生まれ、部下はのびのびと仕事に取り組めるようになります。
聞くべきことは話の内容だけではありません。言葉だけではなく、表情や声のトーン、手の動きなど非言語に表れる相手の感情にも注意を払い、受け止めましょう。表情が見えるように体ごと向き合う、目線を合わせるなどの傾聴ポーズをとることは極めて大事なポイントです。多忙な時期など、部下の話をPCに向き合ったまま聞くことがあるかもしれませんが、要注意。上司が聞く姿勢をとれていないと、部下は自分の感情を無視されていると感じ、きちんと話を聞いてもらった気がせず、内心失望しているかもしれません。上司の理解もあやふやになり、「言った、言わない」などと、トラブルに陥ることにもなりかねません。
指示命令をせずに部下の力を引き出す方法
傾聴力があるリーダーのチームでは、指示命令をしなくても、主体的に部下が動いてくれるようになります。リーダーが部下を信じ、話しやすい場づくりをすることで、どんな意見を言っても受け入れてもらえる安全・安心な場が生まれ、部下の可動域が広がるからです。さらに部下の主体性を発揮させるために、部下が話す内容だけではなく、感情もしっかりと受け止めながら、相手に考えさせるような質問を適宜投げかけていきます。指示命令は楽ですが、部下の主体性が損なわれ、「指示待ち部下」を生み出してしまいます。
変化の激しい予測不能な時代で生き残るには、上下関係の権威を軸にしたマネジメントでは変化のスピードについていけません。水平関係の横のつながりをいかして、さまざまな意見やアイデアを瞬時に共有し合えるような場が、変化に迅速に対応するためにも、とても重要になります。業種によっては古い体質の企業もあるでしょう。それでも若いリーダーが自分から改革していくことはできます。まずは時間を見つけて部下に声をかけ、雑談などの機会をいかして、部下のことを少しでも理解しようと行動することで、職場の雰囲気が変わってくるはず。草の根であってもできるところから始めることが肝心です。
特に女性リーダーは数の上では少数派なので周囲から反発や誤解を受けやすく、男性リーダーや部下から注目が集まりやすいもの。常に厳しい視線を感じていると強引なリードをしてしまい、孤独感が募り、悪循環に陥ることもあります。しかし傾聴力を磨いて、周囲を味方につければ、いろいろな意味で仕事がやりやすくなります。部下との信頼関係を深め、チームの活性化をはかるためにも、後輩女性に魅力あるロールモデルを示すためにも、まずは傾聴の基本ノウハウを確認し、慕われる上司をめざしましょう。