オンラインミーティングの入室と退室のタイミングはいつが適切なのか。マナー講師の諏内えみさんは「ビジネスシーンでの他社訪問の際は、アポイント時間の2~3分から数分前に訪ねるというのが基本マナーだが、オンライン上では『5分前集合』的な暗黙のルールはなくなってきている印象。相手に負担を感じさせないタイミングで入室と退室をすると“スマートでデキるビジネスパーソン”という印象を与えられる」という――。

※本稿は、諏内えみ『我慢しない、侮らせないビジネスパーソンの処世術 戦略としてのずるいマナー』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

話しかけてくれた相手の名前が思い出せない

「○○さん! お元気ですか? 先日はお世話になりました」と話しかけていただいたのに、こちらは相手の名前が思い出せない……。

私がテレビやラジオ番組などでも頻繁に質問されるお困りごとのひとつです。スクールの生徒さんから聞かれることも多いので、きっと日常的に遭遇する事態なのでしょう。

こんなとき、なんとかごまかしてその場を切り抜けたくなってしまいますが、あまりよい手とは言えません。

もし「○○の件で、ご連絡ください」と言われたら? 名前がわからないままでは、連絡のしようがなく後々困ってしまいます。

疑問符の書かれた黒板を持つ女性
写真=iStock.com/Lisa-Blue
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ごまかすのはNG

このような事態には、私は「ごまかすのはNG。とにかく思い出せる情報があればそれを伝えましょう」とお話ししています。

たとえば、どのセミナーやパーティーでお目にかかった方なのか? どんな会話をしたのか? その場に居合わせた共通の知人や、社名は? どんなことでもかまいません。

誰でも、自分のことをすっかり忘れられていては落胆しますよね。でも、たったひとつでも思い出せる情報があれば、相手に「あなたのことをきちんと認識していますよ」と伝えることができます。

つまり、ガッカリさせたり、恥をかかせてしまうことが避けられるのです。

「たしかセミナーでお目に掛かりましたよね。お世話になりました」

この程度で十分です。そのあとで、「もう一度お名前を伺ってよろしいですか?」と続ければOK。「人のお名前を覚えるのが苦手で……」などと付け加えてもよいでしょう。

これにより、自分だけ覚えられていないというバツの悪さを感じさせずにすみます。

また、「お元気ですか? 先日はお世話になりました」と話しかけられた際に、「こんにちは。諏内でございます」と先回りして名乗れば、相手もつられて名乗ってくれる可能性大です。

じつのところ、相手もこちらの名前を覚えているとは限りません。相手も同じように忘れていたとしたら、きっとありがたい情報となるでしょう。