「野菜なら何でもいい」わけではない

こうした働きがあるのは、食物繊維の中でも、水に溶ける「水溶性食物繊維」です(食物繊維には、水溶性食物繊維と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります)。

食物繊維の多い食材の代表が、野菜、きのこ、海藻ですが、中でもより水溶性食物繊維の量が多いのが、ごぼう、オクラ、芽キャベツ、モロヘイヤ、なめこ、わかめ、昆布、ひじき、納豆、アボカド、イチジクなど。

ネバネバ系の食べものが多いですね。

食べる順番に迷ったら、水溶性食物繊維を多く含む野菜やきのこ、海藻が入ったサラダやスープ、副菜などをまず食べる。これが鉄則です。

野菜がなければ「大豆」

野菜や海藻たっぷりのサラダもスープもない──。

そんなときには、「ソイファースト」をおすすめします。 

池谷敏郎『血糖値はたった1分の習慣で下がる!』(秀和システム)
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「ソイ」なので、大豆メニューから先に食べるということ。私自身、5年以上前から実践していて、すっかり定番になっています。

ソイファーストの実践方法でとくに手軽なのは、納豆、蒸し大豆、豆乳です。

ネバネバ食品の納豆は、先ほども紹介したように水溶性食物繊維が豊富。それに、常備しておきやすいので、サラダがないときには納豆から食べましょう。

蒸し大豆も、最近では定番商品として、パック入りのものがコンビニでもスーパーでも売られています。ほのかな甘みがあるのでそのまま食べてもおいしいのですが、私はヨーグルトにトッピングしたり、野菜ジュースやインスタントスープに混ぜています。

食前に食べてソイファーストにすることもあれば、ちょっと小腹が空いたときの間食代わりにすることもあります。

また、一番簡単なソイファーストは、豆乳です。

豆乳は、調理の過程で食物繊維がかなり減ってしまいますが、大豆独特のえぐみ成分である「大豆サポニン」が、糖の吸収を抑えてくれます。

ただし、豆乳がいいからといって、甘く味つけされた豆乳飲料では逆効果です。これでは最初に炭水化物から食べるのと同じことになってしまうので、必ず、甘くない無調整豆乳を選びましょう。私は、外食の前には、あえて豆乳を1杯飲んでから行くこともあります。みなさんも、とくに丼ものやうどん・そばといった炭水化物メニューになりそうなときには、ソイファーストを実践してみてください。

野菜・大豆の次は魚

食べる順番で、ベジファースト、ソイファーストの次はというと、おすすめは「魚」です。「フィッシュセカンド」と呼んでいます。

魚の油に含まれるEPA(エイコサペンタ塩酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は「インクレチン」というホルモンの分泌を増やし、インスリンが出やすい状態をつくってくれるのです。

インクレチンは、糖尿病の薬にも使われている、大事なホルモンです。

ベジファーストやソイファーストで糖の吸収をゆるやかにして、フィッシュセカンドでインスリンの分泌をサポートする。そして、だんだんお腹がいっぱいになってきたら最後にご飯やパンなどの主食を食べる。そうすると、自然に、主食は少なめでも満足します。

これが、ベストな「食べる順番」です。

池谷 敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士

1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。