幼児期に適した接し方

子育てにおいて大事なことは、「何のためにそれをさせるのか」の筋道が親の頭の中にあることではないかと思います。そうすることで、親の態度や考え方が、回りからの情報によって振り回され、子どもに影響することがなくなります。

例えば、私自身は、自分の子どもたちには、あらゆる環境の中で、自分がどう進んでいくべきか、探究心と自律性を持って道を切り開いていける人生を歩んでほしいと思っています。そのため、近年白熱する幼児教育への“過剰”な投資は重要だとは思っていません。

おもちゃを使っておままごとをする子供とそれに寄り添う母親
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幼児期には、効率よく多量の問題を解く訓練や、問いに対する模範的な回答をする訓練をするよりも、親が子どもに対して常に応答的な関わりを持ちながら、柔軟に統制を行う(権威的養育態度)ことの方が、子どもの向社会性や自主性を育むのに重要、というエビデンスに基づいた考えを持つためです。さらに言えば、子どもの心理や行動を厳しく統制し、従わせようとする養育(権威主義的養育態度)の下では、一見「いい子」とみえることも多くありますが、子どもの自律性や自己制御力が育たないこともわかっているためです。

小学校高学年の学習量は重要

一方、中学に向けた小学校時代の教育のあり方や、とくに小学校高学年以降に多くの学習時間を持つことは、10代前半まで続く脳の前頭葉の発達ダイナミクスが認知機能や非認知能力に関わっているという点からも非常に重要であると考えています。

ただし、もし、「将来社会的に成功して高い収入を得るために、偏差値の高い良い大学に行ってほしい。そのためには、良い中高に行ってほしい」というような考えで、熱心な教育を行っている場合には、以下のようなエビデンスがあることも知ってもらいたいと思います。

「レベルの高い大学に行っている人とそうでない人(大卒)での収入に差はない」

これは、海外からだけでなく、日本の研究からも示されています(※)

※一般的によく知られている「学歴と収入には関係がある」といいう説は、最終学歴を、大学院卒、大卒、高卒、中卒、という枠組みで評価して比較しており、大学レベル(偏差値)は考慮されていない。つまり、大学卒とそれ以外の比較による結果が示されています