叔父の脳卒中に続き、心臓病で叔母が入院

悪いことはさらに続いた。施設に入所してすぐ、叔母が心臓病で倒れ病院に入院したのだ。やはり、義母がひとりで入院手続きを行い、保証人になった。そして、定期的に叔父夫婦の自宅、施設、病院に足を運ぶことが、体力的にも精神的にもつらくなっていた。

その変化に最初に気付いたのは、義母の娘である、筆者の妻だった。妻も叔父夫婦に子供の頃からかわいがってもらった記憶があり、たまたま義母に電話で様子を聞いたところ、元気がなかったのだという。妻はとっさに何かあるなと感じ、事情を聞いたのだ。

どうやらいろいろ調べることが多く、場合によっては筆者の住む東京から現地に飛ぶ必要性もありそうだ。こういう時こそ、フリーランス稼業の筆者の出番である。すぐに何をすべきかポイントを整理しようとリサーチを開始した。

叔母が先に亡くなると相続をめぐって対立が予想された

義母への聞き取りなどの結果、次のようなことがわかってきた。

ひとつめのポイントは、親族たちがこだわっている財産の問題。義母が預かっている通帳や現金を確認し、次に相続に関連する叔父と叔母、それぞれの親族の存在を洗い出した。これにより

・叔父の親族は義母を含み4人。いずれも甥や姪のみ
・叔母の容態はかなり悪い。親族は義母のみ
・預かっている現金は葬儀代にと託されている200万円
・預金通帳は叔父、叔母、それぞれの名義で500万円ずつの計約1000万円
・月の定期的な収入はふたりの年金合計30万円、支出は家賃と施設・入院費。トータルで貯金は増えている状態

と、整理することができた。

また、叔父夫婦が死亡した場合の相続についても洗い出した。叔父が先に亡くなると、その財産のほとんどを叔母が相続し、叔父の親族たちは口を出せない。逆だと叔父の甥や姪4人に(代襲)相続権があるため、もめることが予想される。

注:厳密に法定相続分でいうと、叔父が先に亡くなると、叔母4分の3、叔父の甥や姪が16分の1ずつ。叔母が先だと叔父が4分の3、幸子が4分の1。

叔父夫婦の今後のことや、義母の精神的負担の解決も重要問題だ。今困っていることは何かと問うと、施設は短期入所が原則なので、次を探すよう求められていることに加え、叔父の今後のため、ケアマネージャーから後見人を立てることを提案されていることをあげた。

加えて、親族たちは叔父夫婦の財産が数千万円にのぼると勝手に思い込んでいる節があるらしく、「私は別に財産うんぬんなんて思ってないので、こんな面倒な話になるくらいなら、相続なんかしたくない」とも口にした。そもそも、義母は親族と性格が合わず、以前から距離を置いていたので尚更だった。

だが、叔母は親族から妙な噂を流されており、たとえ相続放棄しても、義母だけが叔父たちの介護をし続けることが容易に想像できたため、筆者はこう答えた。

「わかりました。お義母さんにそこまでの気持ちがあるなら、私が近いうちそちらに行って親族たちと話をしますよ。ただし、何もしていない人たちが得をするようなことは反対ですからね」