「スキルや経験不足」ではなく「カルチャーが合わない」

このように、面接で落とされるとすぐに「スキルが不足しているせいだ」「経験がないせいだ」と考える方はたくさんいらっしゃいます。しかし、実は意外に多い理由が「カルチャーアンマッチ」、つまり「社風や仕事の仕方が合わない」というものです。

特に公務員や金融、メーカー等の日系老舗大手と言われる企業出身の人が、Web系スタートアップやベンチャーのように、若手がスピード感を持って仕事をしている企業に転職をしようとすると、こうした判断をされることがあります。

例えばさきほどの女性のケースで言うと、金融業界の人にとって「ミスをしないこと」は最重要。「たとえ時間がかかっても、丁寧に確認作業をしながら仕事をすることが正義」という考え方です。何か行動を起こすときは、必ず上長の許可をもらうことが重要で、社内派閥を含めた立ち回りや根回しを大切にしてきた人もいるでしょう。

しかし、スタートアップやベンチャーのように、新しい概念やサービスを提供している会社では、仕組みや前例のない業務ばかり。スピードを重視し、常に「トライアル・アンド・エラー」の精神で失敗を恐れず、「まずはやってみる」という姿勢が大切です。

180度違う社風に適応できるか

失敗を恐れて確認作業に時間をとられ過ぎたり、上長や周囲にお伺いを立てながら仕事をしてきた人は、スピードや柔軟性を重視する社風に合わないとジャッジされることになります。仮に入社できたとしても、日々のルーティンや役割、体制がしっかり決まっていないことにストレスを感じてしまい、早期の退職に至るケースが後を絶ちません。

どんなに前職では優秀で活躍していた人でも、180度カルチャーの異なる会社に行けば、これまでのやり方は通用しません。これまでNGとされていたことが転職先で評価されたり、逆にこれまで求められてきた能力が足かせとなることもあります。

今いる会社も、自分の性格や考えとマッチしているからこそ選んだはず。180度異なるカルチャーに適応できる柔軟性が自分にあるか、しっかりと考えてみましょう。それが難しければ、適性を見極めて別の選択肢を幅広く検討するなど、気持ちを切り替えたほうがよい場合もあります。

こうした、社風の違いや、働き方の違いが理由で不採用になることについては、対策が難しいように感じるかもしれません。しかし、よくある不採用理由の一つだと知っておくと、不採用になったときの受け止め方は大きく変わると思います。人と同じで会社も「相性」があります。面接の時には、自分とこの会社のカルチャーが合うかどうか、気を付けて見極めるようにしたほうがいいでしょう。

モダンなオフィスを行き交う人々
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