「なぜ落とされるのかさっぱりわからない」他責の人

私はこれまで多くの方の転職を支援してきましたが、不採用の理由として一番多いのがこの「他責」です。問題を責任転嫁してしまう他責傾向の強い人は、中途採用では特に敬遠されます。

しかし、他責傾向がある人ほど、自分のそういった傾向に気づかないので、不採用になった理由がそこにあるとは気づかず「なぜ不採用になるのかさっぱりわからない」と考え、先方の企業や人材エージェントのせいにしたりします。

他責傾向が強い人は、例えば面接で、なぜ今の会社を選んだのかを問われると「親に安定した会社に入ってほしいと言われたから」「転職エージェントに入社させられた」と、人生の大切な決断を他人任せにしたことを話したりします。また、これまでの仕事の実績を問われると「今の会社では大きな仕事を任せてもらえなかった」「上司から特に目標を与えられなかったので、実績が積めなかった」など、仕事のパフォーマンスを他人のせいにしてしまいます。

企業側からしてみると、こうした他責傾向がある人は、転職したとしても結局同じことを繰り返すのではないか、問題が起こると全て「会社のせい」「上司のせい」「世の中のせい」と他責にしてしまうのではないか、自分の足りないところを見つめて改善しようという努力をしないのではないかと受け取られて、敬遠されます。

「この会社は見る目がない」「エージェントが悪い」

他責傾向のままで年齢を重ねると、そうした傾向を指摘してくれる人もいなくなるので、さらに転職で苦戦することになります。

特に、35歳以上のミドル世代で、学歴も高い大手企業の男性に多いのですが「会社に正当に評価されていないので、もっと自分を高く評価してくれる会社に行きたい」と転職活動をする方もいらっしゃいます。そして「これだけの大仕事を成し遂げた」と活躍ぶりを大きくアピールされるのですが、大手企業の看板に守られて仕事をしてきたという認識が薄く、自分を高く見積もり過ぎる傾向があります。

面接では、転職の理由について「部下や同僚のレベルが低い。もっと仕事ができる、優秀な人と仕事がしたい」と組織やチームメンバーへの不満を語ったりします。しかしこれでは、ミドル世代に求められる、部下を育成する力やチームマネジメント能力に欠けていると、自分で言っているようなもの。そして不採用になると「なぜ自分が落ちるのかわからない」「もう一度掛け合ってほしい」と食い下がり、最終的には「この会社は見る目がない」「エージェントの推薦の仕方が悪い」とほかの人のせいにして、なかなか転職活動が前に進みません。