緊張を和らげるスピーチの準備と話し方

人前に立ち、皆の注目を一斉に浴びたとたん、暗記したスピーチが飛んで頭が真っ白になってしまう――そんな恐怖体験は避けたいところです。

そのためには、少しでも不安を解消しておくことが一番です。そこで、事前準備と当日の話し方のポイントをご紹介します。結婚式の祝辞だけではなく、ご挨拶を頼まれた時など人前で話す際にも活用できます。

長いスピーチは単なる自己満足。準備をする際には時間を意識することが大切です。スピーチの時間は、一般的な祝辞や挨拶は3分。主賓の場合は5分が目安です。

そして、不安な時にはスピーチ原稿を何回も繰り返し声に出して練習をして、自分のモノにしてしまうと自信がつきます。この時丸暗記をするのではなくスピーチの流れを覚えます。丸暗記だと、頭が真っ白になって言葉が浮かばないとアウトですが、流れさえ覚えていれば多少違う表現になってもスピーチを立て直せます。

それでも不安な時には、手元にメモを持っていても大丈夫です。その場合ノートの切れ端のメモなどでなく、きれいな便箋など見栄えが良い紙を用意しましょう。プリントアウトした紙を台紙に張ってもいいでしょう。ただし原稿の読み上げにならないように、言葉に詰まった時のお守りとして持っておきましょう。

緊張するなら新郎新婦を向いて話してみる

次に、スピーチ当日です。本来は、列席者に視線を向けながら話すと会場を巻き込めるのですが、もしどうしても、緊張するのであれば新郎新婦を向いて話してもいいでしょう。新郎新婦に語り掛けるように話せば、自然な会話調になります。

また、緊張するとつい早口になり言葉を噛みやすく余計に焦ってしまいます。 予防策として、第一声の前に、鼻から大きく呼吸をして一拍おき、それからゆっくりと丁寧に話し始めましょう。 堂々とした印象の話し方は、腹に力を入れて声を出します。また、顏や体の一部をさわりながら、体重移動でフラフラしているとだらしない印象になります。鏡を見ながら練習をすると表情、態度を確認できるので、おすすめです。

結婚式やお祝いの席のスピーチは快く引き受けてもらうと、頼んだ相手はとても嬉しいものです。お願いされるのは信頼の証です。スピーチのコツをつかんで、心に残るメッセージをプレゼントしましょう。

阿隅 和美(あすみ・かずみ)
WACHIKAコミュニケーションズ代表

青山学院大学経営学部卒業。中部日本放送アナウンサーを経て、NHK衛星放送キャスターとして、株式市況、世界のトップニュースを10年担当。20年にわたり、スポーツ、経済、情報番組に関わる。アナウンサー名は瓶子和美。現在は、TV現場で培った技術を活かし、ビジネス現場でコミュニケーション力を発揮し、成果を出す人材を育成する研修、講座、講演を行っている他、経営層・管理職、エグゼクティブリーダー向けプレゼン・スピーチのパーソナルトレーニングやコンサルティングなどを実施している。著書に『心をつかみ思わず聴きたくなる話のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)、『仕事ができる人の話し方』(青春出版社)があり台湾でも翻訳されている。ホームページ