転職活動を始めると、あちこちから届く「スカウトメール」。キャリアアドバイザーの江﨑麻里奈さんは「すべてを真に受けないように気を付けてほしい。しかし、誰がどんな目的で送っているかを知り、うまく活用することで、転職の便利なツールになる」という――。
スマホとノートパソコンを使用してメールを送信している女性の手元
写真=iStock.com/oatawa
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「誰が」「何の目的で」送っているのか

連休明けのこの時期は、現実社会に引き戻された反動から仕事に身が入らず、「つい転職サイトをのぞいてしまう」というビジネスパーソンが増える時期でもあります。

何となく転職を考え始めて転職サイトや転職エージェントに登録したら、送られてくるメッセージの数々に驚いた経験がある人も多いでしょう。今、皆さんの元に届く「優秀な貴方様へ」というメッセージを真に受けて、勘違いをして失敗したり、うっかり恥ずかしい言動をしてしまう人が増えています。

そもそもスカウトメールとは、採用担当者が「応募してほしい」と思った求職者に対して、応募を促す目的で送るメッセージのことです。しかし、実際はそうではないものも多く、送り手も目的もさまざま。大きくは以下の3つに分類されます。

(1)転職サービスから集客目的で自動配信されるスカウト
(2)ヘッドハンター(転職エージェント)からのスカウト
(3)企業の人事や経営者からの直接スカウト

数で言うと、(1)の「転職サービスから集客目的で自動配信されるスカウト」が圧倒的多数を占めます。(2)の「ヘッドハンター(転職エージェント)からのスカウト」についてですが、本当のヘッドハンターからのスカウトは、部長以下のクラスではほとんどありません。ただ、ヘッドハンターと名乗る転職エージェントからのスカウトメールも多く、実質的には大多数が(1)に含まれる自動配信メールです。(3)の「企業の人事や経営者からの直接スカウト」は、まだ数は少ないですが、増える傾向にあります。

この分類を参考に、スカウトメールを受け取ったら、まずは誰からどんな目的で送られたメッセージなのかを正しく理解することから始めましょう。特に30代以上のビジネスパーソンは、そのメッセージを額面通りに受け取るのではなく、それぞれ送信相手の目的や特徴を正しく理解して、有効に自分の転職活動に生かしてください。

大半は自動送信の集客メール

転職サービスに登録したところ、ヘッドハンターを名乗る人物から「一度お話ししませんか?」「転職活動をサポートさせてください」というスカウトメールを受け取ったことはないでしょうか。

メッセージには「IPO間近の企業へ特別にオファーさせてください」「貴殿は日本を代表するスタートアップを進化させられる方だと可能性を感じております」と、成長中の企業への転職を示唆する言葉の数々、そして「お電話かオンラインで面談しましょう」というお誘い。「もしかして、こんな超有名企業に転職できるのでは?」と思ってしまいますが、これらのメールは企業からの直接スカウトではなく、転職エージェントへの登録を促すためのものであることがほとんどです。