採用が約束されているわけではない

例えば、大手転職サイトはプラットフォームを開放しており、外部の中小規模の転職エージェントが、そのサイトの登録者にスカウトメールを送ることができるようになっています。これらは自動化されていることが多く、あらかじめ定めた条件を満たす登録者に、外部の転職エージェントからのスカウトメールが自動送信されるようになっています。例えば、英語が堪能だったり海外経験のある登録者には、外資系への転職に強い転職エージェントからのスカウトメールが自動的に送られるよう設定されていたりします。

つまり、「スカウトメール」とメールの題名に入っていたとしても、実は「一都三県在住、女性、20代、30代、登録から1カ月以内」のように、あらかじめ設定されたターゲットに向けて一斉に送信しているメールなのです。メッセージの文面に、あなたの名前や直近の在籍企業が入っていることもありますが、これも自動生成されたもの。「オファー」「スカウト」という言葉があったとしても、記載された企業への採用が約束されているわけではありませんので注意しましょう。

ヘッドハンターとは誰なのか

本来ヘッドハンティングとは、企業から依頼を受け、外部の企業で活躍する優秀な人材に声を掛けて採用に導く手法を指しており、経営者・役員・幹部など重要ポストの人材獲得のために実施される手法です。

しかし、最近は転職エージェントがスカウトメールを送る際に「ヘッドハンター」と名乗ることが多いので、混同して捉えている人も多いと思います。この記事をお読みいただいている皆さんが経営者・役員クラスの人材でなければ、スカウトメールを送ってくる「ヘッドハンター」は転職エージェントである可能性が高いと考えてよいと思います。

メッセージには「優秀な貴方様へ」「◯◯様だけに特別オファー」と歯の浮くような言葉が並び、名だたる企業へ内定可能性があると示唆する熱のこもったメッセージが書かれています。そんなスカウトメールを受け取れば、誰でもつい浮き足立ってしまうもの。しかしこれは、本来のヘッドハンティングとは異なり、単に転職エージェントへの登録を促すメールであって、不特定多数に大量に送られているダイレクトメールであることがほとんどです。

並んで待っている人々がさまざまなガジェットでメールを確認中
写真=iStock.com/Delmaine Donson
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