みんなが言える「白・黒・紺・茶・グレー」
【M】うちの学校はもともと荒れていたそうです。そのころを知るベテランの先生は「その時代から比べると、校則は大分緩くなった」「緩くしてやってきたぞ」という感じで語られることがあります。この方たちからすると、荒れていた状況から、校則と生徒指導を変えて、落ち着いた状況を生み出したという事実があるのだと思います。一方で、私や生徒のようにそうしたことを知らないまま、今ある校則に向き合うので、会話に温度差が生まれてしまいます。私たちからすると、停滞している感じがあるのです。
【内田】停滞している感じですね。諸先輩方が変えられて、今どのレベルの校則があるのでしょうか。厳密なルールは残っているけれども、一定程度は変わってきた、ということでしょうか。
【M】そうですね、それこそ、去年、生徒が持っているルールブックから「ツーブロック禁止」とかはなくなりました。逆に「ツーブロック変えたからいいだろ」というところで停滞している風潮はあります。例えば以下のような根拠不明なものは残っています。
・髪は肩にかかると結びなさい。
・結び方は三つ編みはいいけど、「編み込み」「くるりんぱ」はダメ。
・下着の色の指定はない。だが、普段着の下に着る色、ヘアゴム、靴下の色は白・黒・紺・茶・グレー。
【内田】そうなんですね……その色、えっと、何色ですか、すらすら言えるのですね。
【M】「白・黒・紺・茶・グレー」。全生徒、全職員が言えます(笑)
【内田】みんな言えるんですか!(笑)先生は配属が決まったとき、何か感じたことありますか?
ピンクのヘアゴムで退場
【M】配属が決まった時に、「うちの学校は落ち着いています」とお聞きしました。でも、ふたを開けたらこのような校則できつめに縛っていた。最初に違和感を覚えたのは、入学式です。私は1年生の担任だったのですが、入学式でピンクのヘアゴムの子がいて、退場させたことがありました。「これって、そんなめくじらをたてることかな」と思いました。生徒の命に直接関わるようじゃないところ、ぎちぎちに決めることへの違和感、恐ろしさがあります。
一方で、若手の先生でも、指針があるからありがたいと思う人もいる。比較的規模が大きい学校なので、学年で統一の指導をしたいと思っている年齢が近い先生もいらっしゃいます。