その流儀が最大化されるのはどんなときか
提案のポイントは、その人の流儀が最大化されているときはどういうときかを見極めること。
たとえば先程の上司の場合、最大化されていることが「コミュニケーションがとれる」ことなら、わざわざ上司のところに寄らなくても、電話やオンラインでもいいわけですよね。そうしたら「電話でもよいでしょうか」「オンラインで試すチャンスをいただけないでしょうか」と提案することです。
相手の流儀を大切にしたうえで、別の選択肢を示せば、チャンスが転がりこんできます。
「他にもありますか」は最強の質問
さらに、つけ加えてほしいのが「他にどんな流儀を持たれていますか」という質問。
そうすると、相手は自分に興味をもっているんだな、と承認欲求が満たされて「実はまだ出していないんだけど、これとこれを出そうと思っているところなんだ……」と話し始めます。そして、こちらは上司の価値観をさらに知ることができる。
理不尽だと最初からはねのけるよりは、はるかに生産的な方法ではないでしょうか。
ちなみに「他にもありますか」というのは、あらゆる場面で使える最強の質問です。
たとえば社内で悩んでいる人に対して「この二つが問題ですね。他にもありますか」と聞くと、他に出てくるだけでなく、最初の二つの問題についても、よりくわしく話してもらえます。
つまり「他にもありますか」という質問は、相手に大きな余白を与えるということ。聞かれるほうは「この人だけがこんなに聞いてくれる」と信頼して話してくれるのです。
「他にもありますか」という問いは、ぜひ自分に対しても投げかけてほしい問いです。今日は大変な一日だったな、あんなこともあったし、こんなこともあったし、他にも何かあるかなと考えてみて、なければ「ああ、これだけだ」とありがたく感じるし、「あんなこともあった」と他のことが見えたら視野が広がります。つらいときですら、そんなふうに希望が見いだせますから、喜びならなおさらです。
「今日はいいことがあったな」、あんなこともあったし、こんなこともあったし、他にはなにかあるかな……、そういえば今夜はあの番組が見られるし、来週はあの人に会えるし、と喜びが増幅していくのです。
「他にもありますか」という質問は、いつでも使えるように自分の中で用意しておいてください。