「上司に正当に評価をしてもらえない」そんな不満とどう向き合えばいいのでしょうか。両足院副住職の伊藤東凌さんは「自分が『評価される人』になりたいなら、自分も評価する人になることです」といいます。その心は――。

真実と想像を切りわけて考える

「自分は正当に評価されていない」、そういう悩みは実際によく聞きます。

まず「評価」の大前提として考えなければいけないのが、事実と想像を切りわけること。

両足院 副住職 伊藤東凌さん
撮影=水野真澄
両足院 副住職 伊藤東凌さん

たとえば「上司から評価されない」という人に「どこでそう思ったのですか」と聞いてみると、「先週も目線が冷たい気がしたから」「声のトーンが低かったから」という答えが多い。抽象度が高くて、どこまでが事実でどこまでが想像かがあいまいなのです。もとをたどると、たまたま上司の体調が悪かった、忙しくて余裕がなかったというだけのことも多い。

そう考えると、1回ダメ出しされたのは、特に深い意味はないかもしれない。どこまでが事実でどこまでが想像かというのは、まず問い直さなければいけないことですね。

自分の態度を振り返ってみよう

降格や減給といったはっきりわかるファクトならともかく、コミュニケーションの中で評価されていない気がする、気まずく感じるというのは、もしかするとこちら側にも原因があるのかもしれません。

両足院
撮影=水野真澄

最近、明るく挨拶をしていなかった、声をかける回数が減っていたということはありませんでしたか?

こちらの不満が知らず知らずのうちに相手に伝わっていて、相手から声をかけにくくなってしまっていた可能性もあります。「評価されない」と感じたときは、自分側のコミュニケーションも振り返ってみる必要があります。