満を持してオープンした食の大型専門売場
また、私が「いかにも無印良品らしい」と思ったのが「発酵ぬかどこ」。「ぬか漬けを漬けてみたい」と潜在的に思っているけれど、「ぬか床ってどこで売ってるのかな」という人が、たまたま無印良品を訪れて、「あれ、無印にあった!」と見つけて買うという流れが想像できます。
このように食品販売の実績を積み重ねてきた良品計画は、2018年から生鮮食品を扱う「無印良品 イオンモール堺北花田」「無印良品 京都山科」をオープンさせます。そして満を持してオープンしたのが食の大型専門売場を備えた「無印良品 港南台バーズ」だったのです。
食品を扱う利点
食を扱うことにはさまざまな利点があります。まずは生鮮食品のもつ季節感を演出することで、購買意欲を刺激できること。一般のスーパーは必ず入り口付近に野菜や果物を置いていますが、あれは入店と同時にお客さんのテンションを上げられるからです。本当はスーパーも、生鮮食品よりも利幅が大きい加工食品を売りたいのですが、最初に気分が高揚すると財布のひもがゆるみやすい。
「あれ、もう新キャベツの季節か。ひき肉を買ってロールキャベツでもつくろうかな」
「朝採れのタケノコだって。ちょっと高いけど、たまにはいいかも」
という調子。
これからの季節であれば、卒業、入学、入社のお祝いなど季節のイベントと衣食住をからめた提案をすることで、無印良品のお弁当箱などもついでに買ってもらえることでしょう。
さらに食は多くの人の関心事ですから、SNSなどでもいろいろな情報発信ができます。港南台バーズではカウンターキッチンで魚をさばいて、その様子をライブ映像で発信したりしています。食というカテゴリーがあると、それほど費用をかけずに情報発信ができるのは、とても有利なことだと思います。