本当に有益なのは「心臓ドック」と「脳ドック」

「健康診断は不要である」と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は「心臓ドック」と「脳ドック」については受ける価値があると考えています。

健康診断は、正常値の範囲から上下どちらかに逸脱していたら「異常」と判断するだけです。人にはそれぞれ個人差というものがあるのに、それを認めずに数値だけで判断しようというシステムです。

しかし心臓ドックと脳ドックについては、その人の状況をきちんと診ます。個人差も考慮したうえでの判断がなされるのです。

心臓ドックで心臓をとりまく冠動脈のどこかに狭窄きょうさくが見つかれば、それを広げる処置が受けられます。解離性大動脈りゅうなどが見つかった場合も、ある程度の処置が期待できます。

※編集部註:初出時、「『健康診断は不要である』と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値があると考えています。」としていましたが、筆者の意向により「『健康診断は不要である』と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値があると考えています。」と修正しました。(2月16日19時45分追記)

動脈硬化を見つけることが重要

コレステロール値や血圧が高いのがなぜ悪いのかというと、動脈硬化を進めるからです。

ただし、その逆が必ずしも真だとはいえません。コレステロール値や血圧を正常値に抑えているからといって、「だから動脈硬化も問題はない」と思い込むのは非常に危険です。数値が正常か異常かに一喜一憂するよりも、冠動脈の狭窄が進んでいないかどうかを実際にチェックすることのほうがよほど大事です。

脳ドックでも、MRIによって脳の血管を見ることができ、ある程度の大きさがあれば動脈瘤を発見することができます。早期に見つけられれば、カテーテルなどを使って予防手技が受けられます。

このように、心臓ドックと脳ドックは有益な検査になりうるものです。