トラブルを解決したというのは全部嘘

Iさんは妻子持ちなので、不倫関係になるのだが、Hさんは「あんなに私のために親身になってくれたのだから、やがて離婚してくれるだろう」と信じていた。しかし、最近「Iさんの話は本当なのか」と疑いたくなる出来事があった。

きっかけは、取引先のスーパーに営業に行ったとき、そこの店長に就任したばかりの元彼のJさんと久しぶりに再会したことだった。Jさんは、そのスーパーのオーナー社長の娘と結婚したので、しばらく系列店で修業をしてから、最近店長に就任したようだ。Jさんから「久しぶり。元気だった?」と笑顔で話しかけられ、Hさんは顔も体も一瞬こわばったが、取引先の店長なので、無視するわけにもいかず、「いつもお世話になっております」と頭を下げた。

店長室に通され、お茶も出されて話し込んでいるうちに、Hさんはつい「私、ストーカー容疑で訴えられるようなことはしていませんよ」と言ってしまった。それに対して、Jさんが「は? 何の話?」とけげんそうな顔をしたので、Hさんは上司のIさんから聞いていた話をした。すると、Jさんは「僕は君をストーカー容疑で訴えるなんて言っていないし、被害届を出さないようにIさんから頼まれたこともない」と驚いた様子だった。

驚いたのは、Hさんも同じで、Jさんが嘘をついているかもしれないと思ったので、「じゃあ、私があなたの結婚の噂を聞いて携帯に何度か電話したことを、なぜIさんが知っていたんですか?」と尋ねた。それに対して、Jさんは「会社を辞める前にIさんに挨拶に行ったら、飲み屋に誘われて、そこで『お前、Hとつき合ってたって噂だけど、別れ話はちゃんとしたのか』と聞かれたんだ。『何度か携帯に電話がかかってきましたけど、そのうちかかってこなくなりました』と答えたので、もしかしたらそのことに尾ひれをつけて君に伝えたのかもしれない」と答えた。

不信感がようやく芽生えた

もちろん、Jさんが嘘をついている可能性もないわけではない。しかし、Hさんの胸中にIさんへの不信感が芽生えたので、今度は自分が新入社員の頃にクレームがきたという取引先の担当者に「私、新入社員の頃に売り上げを伸ばしたいばかりに他社の商品を動かして、ご迷惑をおかけしたことがありましたよね」とそれとなく聞いてみた。すると、驚愕きょうがくの事実が判明した。