心不全の発症予防チャンスは4回。発症後も「慢性化」予防を

心不全を予防するチャンスは4回あります。まず1つめのチャンスは、ステージAの前段階。食生活や運動、禁煙を心がけ、生活習慣病にならないようにすることが重要です。「ステージA」になってもチャンスはあります。この段階になると高血圧や糖尿病などの服薬が必要なケースもありますが、生活習慣病をコントロールすることで心不全の発症を予防できます。「ステージB」では循環器内科の外来で検査・治療を受け、循環器病の進行を食い止めること。心不全を発症する「ステージC」でも、入院治療から継続して心臓リハビリテーションを実施することで、重篤な状況に陥ったり、心不全が慢性化したりすることを回避できるチャンスがあります。

これまで、心不全は高齢者の病気とされていました。しかし、現代はストレス社会のうえ、人生100年といわれる超長寿社会となっているため、多くの人が心不全を発症するリスクが高まっているのです。

心不全はがんと同様に危険な病気ですが、生活習慣を変えることで予防できる病気でもあるのです。年齢を重ねてからの対処では手遅れになる可能性もあるため、若いうち、さらにステージAになる前から心不全にならないための生活を心がけることが大切なのです。

構成=林田順子

原田 睦生(はらだ・むつお)
東京大学大学院医学系研究科循環器内科特任准教授、日本循環器協会評議員

東京大学大学院医学系研究科循環器内科講座 先端臨床医学開発講座 特任准教授。循環器内科専門医。日本循環器協会評議員幹事。1998年、山形大学医学部卒業。山形大学医学部附属病院第一内科、石巻赤十字病院循環器内科、千葉大学医学部循環病態医科学などを経て、心臓幹細胞の研究のため2009年に英国インペリアルカレッジロンドンに留学。2018年より現職。好きな飲料はクラフトビール(IPA)。