報道でよくみかける働き盛りの「心不全」死とは

心疾患には主に「心筋梗塞」「心筋症」「弁膜症」「不整脈」「先天性心疾患」などがあり、これらが進行した先に「心不全」があります。心不全になると、疲労感や脱力感、四肢の冷えやむくみ、息切れ、呼吸困難などの症状が現れます。ところが、これらの自覚症状を「歳だから」と見過ごしてしまう人も多いのです。

死亡診断書に記載される死因としての「心不全」にはいくつか種類があるといわれています。

①もともと患っていた心臓病が悪化し、死亡した場合(本体の心不全)
②心筋梗塞や大動脈解離、不整脈などが疑われる突然死の場合(いわゆる心臓発作)
③肺炎などの複数の病気が同時進行していて、直接死因が説明できない場合
(ただし1994年前後にこのパターンの死亡診断書を避けるよう指針が出たため、現在はほぼない)
血圧を測る様子
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働き盛りの人や前日まで元気だった人が、心不全で亡くなった場合は②のケースが多いと思われます。例えば、社会的リーダーと呼ばれる人は競争力が高く、ストレスの大きい環境で、不眠不休で仕事をしていることが多いため、突然死しやすいという報告があります。交感神経が常に賦活化され、アドレナリンが放出されている状態が続くと、血管が収縮し、血圧が上がるため、心不全を引き起こしやすくなるからです。

ほかにも喫煙者は心筋梗塞のリスクが2.95倍、脳卒中リスクは1.61倍高まります。悪玉コレステロール値が高い人、糖尿病、高血圧も心不全となる大きな要因です。すぐに心不全になることはありませんが、長期間、循環器系に負荷が蓄積されることによって、心不全につながります。