タワーマンションは幻想の住まい

年収1000万円の専業主婦家庭が5000万円のマンションをローンで購入するのは、かなりキツい。少し贅沢な消費をしたり、子供の教育費がかさんでしまうと、たちまちお金がなくなってしまう。この状態で旦那さんがリストラされてしまうと、一気にローンが返せなくなり破産してしまう、というわけである。最近、突然経営危機に陥る大手企業が続出していることで、この懸念が現実のものとなりつつあるというわけだ。

一方、都心の超高級物件には富裕層が住んでいる。お金持ちは上り詰めるのも早いが凋落も早い。高級賃貸物件では2年から3年で住人がすべて入れ替わるとさえ言われている。その意味で、タワーマンションは幻想の住まいなのだ。

タワーマンションの模型
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働かずに生活できるのは、資産1億円

保有している資産の額が、その人がお金持ちかどうかを決める最大の要素となる。では、どの程度の資産を持っていれば、「お金持ち」と呼ばれるのだろうか?

金融機関や富裕層向けビジネス関係者の間では、富裕層とそうでない人のひとつの分かれ目は、純金融資産を1億円以上保有しているかどうかだと言われる。働かずに何とか生活できるギリギリの水準が1億円だからという部分が大きいと思われる。

1億円の金融資産を運用すれば、どのような時代でも3.5%程度の利回りは何とか確保できる。1億円の3.5%は350万円。たしかに自力で生活できるギリギリのラインと言えるだろう。逆に言うと、1億円の金融資産があれば、働かなくても何とかやっていける、ということを意味している。

働かなくても余裕で生活するには、年収1000万円くらいはほしい。そうなると、3.5%の利回りで考えると約3億円の資産となる。

一方、年収ベースでお金持ちを考えた場合、境目となるのは3000万円である。年収が3000万円を超えると、お金の心配をほとんどしなくなると言われ、生活水準も大きく変化する。だが、2000万円クラスの人の多くは1000万円の人と大して違わない。

まとめると、お金持ちとそうでない人を分けるおおよその分岐点は、資産ベースでは3億円、年収ベースでは3000万円ということになる。お金持ちの入り口は1億円だが、5000万円くらいから人の思考回路は変化し始めるようである。