マネー本や投資本の9割が役に立たない

Q.若手社員ですが、お金や投資に関するおすすめの本を教えてください。

世の中に出ているいわゆる「マネー本」や「投資本」の類いはその9割以上がほとんど役に立たないと考えて良いでしょう。

大江英樹『となりの億り人』(朝日新書)
大江英樹『となりの億り人』(朝日新書)

なぜ役に立たないかと言うと、書いている人の多くは評論家やファイナンシャルプランナーといった人たちで、理屈はわかっていても自分で実践していない人が多いからです。

さらに言えば、金儲けのノウハウを教えている本もほとんど役に立たないでしょう。なぜなら投資で成功するためのやり方は人それぞれなので、たまたまその人にとってうまく行ったとしても他の人にもそれができるかどうかは何とも言えないからです。大事なことは原理原則と基本観を学ぶことです。そんな中で、これは読んでおいた方が良い、と思う本を5冊紹介します。

おすすめできる本5冊

①『私の財産告白』本多静六・著

これは全ての人にとって読む価値のある資産形成に関する不朽の名著だと思います。まずは何よりもこの本を読むべきでしょう。

②『ビジネスエリートになるための教養としての投資』奥野一成・著

投資の本質について今までになかった気付きを与えてくれる本です。投資をする上でこれだけは知っておくべきことが満載です。

③『投資家が「お金」よりも大切にしていること』藤野英人・著

投資ということに対する考え方が大きく変わる本です。この本質を知った上で資産形成を始めるかどうかで将来大きな差がつくと思います。

④『こんなときどうする? どうなる? Q&A3つのNISA 徹底活用術』竹川美奈子・著

⑤『最強の老後資産づくり iDeCoのトリセツ 2022年施行 法改正完全対応版』大江加代・著

この2冊は前3冊とは異なり、具体的に制度を活用した資産形成を基本から非常にわかりやすく書いた本です。

たくさんの本を持つ若い女性
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです
Q.情報収集に役立つサイトはどんなものがありますか?

ここでいう情報収集が「何か儲かる情報は?」ということを知りたいのであればそんなものはありません。仮にあったとしてもそれは競馬の予想屋と同じでほとんど役に立たないと考えた方が良いでしょう。

投資で一番大事なことは自分の頭で考えることです。したがって網羅的にニュースを把握できるものが良いでしょう。具体的に言えば「日経電子版」「ウォールストリートジャーナル」そして「ブルームバーグニュース」などです。後者の2つは理想を言えば原語で読むことをお勧めしますが、日本語版でも出ているのでそれでもかまいません。日本のマスメディアだけですとどうしても偏ってしまいますので、これらを併せて読むことをお勧めします。もちろん有料版でないとだめです。

Q.もうすぐ1億円に達しそうです。実現した後に気をつけるべきことは?

おめでとうございます。でも1億円を達成してもしなくても、やるべきことは全く変わりません。それまでと変わらない普通の生活を続けるだけです。1億円という数字自体には何の意味もありません。そのつもりになれば1億円から2億円になるのはあっという間でしょうし、逆に1億円をなくしてしまうのもあっという間です。金額を目標にしないということが何よりも大切なことです。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。