出張時にグリーン車に乗るかどうか
Q.お金持ちが「ケチること」と「ケチらないこと」ってどんなものなのでしょう?
一番大切なことは自分にとっての優先順位を決めることです。例えば仕事の例でお話ししましょう。出張する時にグリーン車に乗るか乗らないかという話です。サラリーマン社長ならまず例外なくグリーン車に乗るでしょう。それは彼の地位の象徴だからです。ところがオーナー社長の場合、必ずしもそうではない人もいます。かつてダイエーグループを率いていた創業者の中内㓛氏は移動にあたって、グリーン車には乗らなかったそうです。社長なのになぜグリーン車に乗らないのですか? と聞くと「で、それに乗ったらなんぼか早う着くんですか?」と返されたと言います。彼にとって一番大事なことは時間で、それを有効に使えるために早く着くのであればお金は出すが、そうでなければそれは無駄金だ、という考え方です。
一方、これは私の知り合いの中堅企業の社長ですが、彼は全ての出張でグリーン車やプレミアムクラスを利用します。ところが面白いことに彼の会社の規定では普通席の運賃しか支給されないらしいので、グリーン車にかかる料金は全て個人で負担しているのだそうです。なぜ自腹を切ってまでグリーン車に乗るのかというと、移動の車中や機中だけが彼にとっては心と体を休められるところなので、いくら自腹で負担してもそれは非常に価値のあることだと言います。
自分にとって意味のないことには1円たりとも出さない
そしてこれは仕事だけではありません。億り人へのインタビューから気づかされたのは、彼らの多くは①自分にとって意味のないことには1円たりともお金は出さない、②自分にとって大切なことは贅沢と言われようとも躊躇することなく使う、ということに徹しています。何にケチって何にケチらないかはこのように人によって違いますので一概には言えません。他人のそれを真似しても意味はありません。自分自身の価値観をしっかりと持っているかどうかが億り人になれるかどうかの分かれ目のような気がします。