今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公は北条義時だ。義時は、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝に気に入られ、二代目執権として権勢をふるった。なぜ頼朝は義時を信頼したのか。歴史学者の濱田浩一郎さんは「義時には、主君に対する忠誠心と先を見抜く洞察力があった。頼朝はそこを高く評価していたのだろう」という――。

頼朝親衛隊のトップに任命されていた北条義時

2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公は北条義時である。義時は鎌倉時代初期の武将であり、その後半生は二代目執権として鎌倉幕府の重鎮として権力を持った人だ。なにより、初代将軍・源頼朝にいたく気に入られた人物である。その理由を私は「洞察力だ」と考えている。

治承5年(1181)、義時は頼朝の寝所を警護する者の一人に選ばれている。鎌倉時代に成立した歴史書『吾妻鏡』には「御家人らのうち、特に弓矢の技能に長け、頼朝と心の隔たりのない者共を選び、毎夜、頼朝の御寝所の近辺を警護させることを定められた」と記されている。

寝所警護の武士は11名いるのだが、『吾妻鏡』はその先頭に義時の名を書いている。この事から、義時は頼朝親衛隊のトップに任命されたと考えられる。

頼朝の不倫発覚で妻・北条政子が激怒

なぜ義時がこれほど厚遇されたかと言えば、一つは頼朝の妻の弟だからだ。伊豆国の豪族・北条時政の次男が義時で、長女は政子である。彼女は頼朝に嫁ぐ。

その延長上で、義時が厚遇されたと見てもおかしくはないだろう。『吾妻鑑』には、頼朝は平家方に対する挙兵に際し、真に大事なことは北条時政にしか話さなかったとあるので、いかに頼朝が北条氏を信頼し重んじていたかが分かる。

しかし、親族というだけで頼朝が義時に気に入られたとするのは物事の一面しか見ていないように思う。頼朝は義時のことを「わが子孫を守ってくれるに違いない」(『吾妻鏡』)とまで絶賛しているのだ。

頼朝がその言葉を発するそもそもの要因となったのは、彼の不倫であった。