能力の高い女性を引き上げていくには
問題は、女性管理職を増やしたくても、昇進に関わる評価・査定をするのは現場の男性上司であること。前出のCSR担当者は「どうしても査定結果が男性優位になってしまい、優秀な女性が埋もれてしまう。彼女たちを引き上げるにはどんな取り組みをし、どんな査定方法を取り入れたらいいのか」と皆にアドバイスを求めました。
すると、同じく社員のほとんどが男性だという参加者たちが、それぞれ自社で効果があった取り組み例を紹介。トップが数値目標を掲げ女性登用を進めた、女性を一般職から総合職に引き上げる制度をつくった、事業所ごとに女性活躍推進チームを立ち上げて男性上司の意識改革に取り組んだなど、多くの事例が寄せられました。
査定方法については、証券会社の人事担当者も「男性が査定するとバイアスがかかりがち。女性を正しく評価してもらうにはどうすれば……」と吐露。他の人材戦略担当者も「当社では各社員が能力値を自己申告し、それを基に上司が査定する制度をとっている」と言いつつ、それでも男性は自己評価が高く女性は低い傾向があるため、結局は男性ばかりが昇進しがちだと頭を抱えます。
「査定する立場の男性上司には、女性にはこうした傾向があること、自己評価を鵜呑みにせず能力をよく見ること、の2点を伝えておく必要があるのでは」と木下編集長。外部のコンサルタントを入れて、管理職セミナーの実施や人事制度の再設計などに取り組む方法もあると語りました。
もうひとつ話題になったのは、時短勤務者の評価について。食品メーカーの人事担当者が「フルタイム勤務者との労働時間の差をどう評価に反映するか。皆さんの社ではどうしていますか?」と問いかけると、自らも時短勤務者だという参加者が自社の例を紹介。
その企業では、自分で決めた目標を上司に提出して、そこに向けていかに頑張ったかで査定される仕組みになっているそうです。そのため、時短勤務でもフルタイム勤務者より評価が低くなることはないとのこと。労働時間が少ないぶん給料やボーナスはカットされているそうですが、評価は下がらないことから本人に納得感があり、フルタイム勤務者の不公平感も解消されているようです。
ただ、他の参加者からは「当社も制度は同じだが、時短勤務の人は昇格試験が受けられないという噂がある」「育休取得者や時短勤務者に対して子どものいない女性からの風当たりが強い」といった声も。制度を整えていても、現場の雰囲気や社員の意識といった面ではまだまだ課題があるようです。
交流会の最後には、木下編集長と鈴木勝彦常務取締役が「当社も全力で女性活躍推進を支えていく」と力強く宣言しました。
「女性管理職を自然に増やしていく上では、経営層のコミットや評価制度など多くの課題が残されていることがわかりました。人事・ダイバーシティ担当者の皆さんに解決に取り組んでいただけるよう、私も一緒に頑張っていきます」(木下)
「日本では今、経済活性化に向けて女性リーダーが渇望されています。優秀なリーダーにどんどん出てきてもらうために、社を挙げて女性活躍推進をサポートしていきます」(鈴木)
構成=辻村洋子 撮影=小林久井(近藤スタジオ)