実は昇進するにつれ幸福度が上昇
ここから、木下編集長は「女性が持つ『管理職は大変』というイメージは、実は思い込みの部分も大きいのでは」と指摘。自身も、編集長になってから上記のようなメリットを強く実感していると言います。
「女性は昇進意欲がないとよく言われますが、これは女性自身が考えすぎてしまっているところもあるのでは。女性には謙虚な人が多く、また給与面でメリットがないと昇進意欲が湧かない合理的な人も多いので、人事担当者の方々はデータを示しながら『大丈夫だよ』『メリットがあるよ』と背中を押してあげることが大事だと思います。また、昇進意欲が高い人=能力が高い人とは限らないので、この点をしっかり見極めることも重要でしょう」
さらに、昇進と幸福度の関係を示すデータも紹介されました。「昇進すると大変になる」が本当なら、ポジションが上がるにつれて幸福度が下がっていきそうなものですが、実際のデータでは一般社員から経営者・役員クラスへと職位が上がるにつれ幸福度も上昇していました。
ただ、これは勤務先の会社で働き方改革がきちんと進んでいればの話だそう。そうでない企業では、職位が上がるにつれて大変になる場合もあるため、「昇進してもメリットが苦労に見合わない」と考える女性も多いと考えられます。やはり、女性活躍と働き方改革は一体で進める必要がありそうです。
続いて、多くの女性が気にかけている「子育てとの両立」についても解説がありました。編集部による現役女性管理職への調査では、プライベート、仕事、時間の使い方、人生の幸福度のいずれでも「子どもがいる人のほうが満足度が高い」という結果でした。
しかし、子育てと仕事を両立している女性管理職はまだロールモデルが少ないこともあり、昇進を打診されても「私には両立は無理」とためらってしまう女性が少なくないとか。木下編集長は「そういう人にこそ、このデータを見せてあげてほしい」と呼びかけます。
「女性は消費者の目線をよく知っている、いわば市場の主役です。なのに組織の意思決定層が男性ばかりのままでは、今後の成長は見込めないでしょう。やはり、これからの経営戦略には女性活躍推進が不可欠。企業は、女性社員の中に自社の経営成長に役立つ宝が眠っていると考えて、そうした人材を見つけて引き上げていってほしいと思います」