片頭痛はコントロール可能なのか

では片頭痛にどのように対処すべきなのか。

まずは生活スタイルの改善が挙げられる。以下のような方法によって、患者の多くが片頭痛の頻度が減ったり、痛みの持続時間が短縮したり、痛み止めが効きやすくなったという報告もある。

【片頭痛コントロール法】※効果には個人差があります。
・毎日、頭痛予防体操をする
・ヨガや太極拳を続ける
・朝の散歩を日課とする
・休日は二度寝をしない
・空腹をガマンしない
・休みの前日のお酒はほどほどにする

「頭痛予防体操」の方法を以下に解説するので、片頭痛に悩む人は実践してみてはいかがだろうか。

【頭痛予防体操】
<肩回し体操>
①足を肩幅に開き、両肘を軽く曲げる
②両腕を内側に回す(リュックサックを背負うように)
③両腕を外側に回す
※6回繰り返し。慣れてきたらさらに大きく肩を回そう。
<腕振り体操>
①足を肩幅に開き、両肘を軽く曲げて脇を開く。
②体の軸を意識しながら、前を向いたまま腕を左右に振る
※2分間行う
出典:日本頭痛学会HPより

肩コリから頭痛を併発することもあるため、肩・首回りをほぐすことは、頭痛予防に効果があるという。デスクワークの合間にも実践してみるのがオススメだ。

上記のような行動で、なぜ頭痛がコントロールされるかというと、生体リズムが安定することでセロトニンの分泌が活性化し、症状が改善するからだと考えられている。

宮城県仙台市で頭痛専門外来を中心に展開するクリニックの院長の松森保彦医師によると、ほかにも日頃からストレスをためないようにする工夫や、マッサージ、アロマテラピー、頭痛に良いとされるハーブのフィーバーヒュー(ナツシロギク)やバターバー(西洋フキ)、さらにビタミンB2やコエンザイムQ10、マグネシウムのサプリも有効だという。

薬液を吸う注射器
写真=iStock.com/MarianVejcik
※写真はイメージです

また、最近では痛みの伝達物質CGRPをブロックする、注射による予防治療薬も開発された。精神面では患者同士をつなぐセミナーなども各地で行われ、情報交換や精神的サポートも行われている(日本頭痛学会のHPはこちらhttps://www.jhsnet.net/ippan.html)。

このようなセミナーに参加経験がある患者は「これまで、周囲に頭痛の苦しみを吐き出せなくてツラかった。セミナーに参加し、悩んでいるのは自分1人じゃないと共有できてホッとした」と語った。周囲の理解を得ることもまたストレス緩和の一役を担っているのだ。

片頭痛の治療は長期にわたるという。だからこそ正しく知って、正しく対処することがツラさから解き放たれる第一歩となる。

林田 順子(はやしだ・じゅんこ)
フリーランス編集者・ライター