STEP1 まずは70歳まで働いて貯蓄をする

貯蓄がゼロの場合、まずは働くしかありません。生活している限り、必ず支出が発生します。収入がなくては、明日から食べていくのにも困ってしまいます。多額の遺産が降って湧くというような幸運は、ドラマや漫画の世界だけの話です。定年だからといって、そのまま仕事を辞めてしまうわけにはいきません。

会社員の約8割は再雇用で働いています。2021年4月に高齢者雇用安定法が改正され、70歳まで就業機会を確保することが努力義務化されています。65歳以降も仕事を続けやすい環境になっているかもしれません。

さて、晶子さんは、とりあえず再雇用で65歳まで働くことにしました。晶子さんの月収は30万円。夫の野口さんも元気になって働けるようになりました。非正規社員で短時間の労働ですが、月額15万円の収入になるそうです。

65歳まででも月12万の貯蓄可能

60歳~65歳までのプランニング

夫婦の月額支出 約33万円(年400万円)
晶子さんの月収 30万円(年360万円)
栄一さんの月収 15万円(年180万円)
夫婦の収入合計 45万円(年540万円)

月に12万円の貯蓄が可能になります。65歳までに、約12万円×12カ月×5年=約700万円の貯蓄ができそうです。

作業プロジェクトを議論
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

加えて、長く働くとメリットがあります。野口さん夫婦は、60歳以降も会社員として厚生年金に加入していました。すると、年金額が増えるのです。5年間でどのくらい増えるのか見てみましょう(簡易計算で参考例です)。

晶子さん 30万円×(5.481÷1000)×60カ月=9万8658円
栄一さん 15万円×(5.481÷1000)×60カ月=4万9329円

65歳での年金額は、晶子さんのプラスは約10万円、栄一さんのプラスは約5万円です。

もうひとふんばり、晶子さんが70歳まで働き続けたとします。さすがにそれまでと同じではきついので、週に3日の契約社員、月収は20万円です。