うつ病患者に言ってはいけない「禁句ワード」とは

再発を繰り返さないために、社会機能の回復はどのようにジャッジすればいいのだろうか。

「症状が治っているかではなく、安定して就業を続けられる状態に戻っているかどうかの判断が大切。そのために、再び同じ状況になったときに切り抜けられるよう、体調不良に至った経緯を本人に振り返ってもらい、対処法を考えてもらう作業が必要」(野﨑医師)

「うつ病の治癒過程には個人差があり、特に軽快期の治療は患者ごとの個別性が大きい。その人にもっとも適した復職のプロセスを探るために、患者本人と医師が双方向的にコミュニケーションを取りながら、現状を客観的に把握することが肝心」(石郷岡医師)

では、うつ病を発症してしまった部下や同僚に対して、周囲はどのように接すればよいのだろうか。

「治療中の人に、『あのときは悪かった』『復帰したら○○をしよう』といったワードは禁句。『待っているから、安心して療養して』と伝えてほしい。メンタル不調で休職した人に対して、周囲は『無理をさせられない』と、活躍の場からはずす傾向があるが、苦難を乗り越えてさらにレベルアップし、社会に貢献できる人材になった人を多く見てきている。メンタル不調になっても活躍できる場をつくることも企業に求められる」(野﨑医師)

うつ病は焦らず、確実に治すことが何よりの再発の予防になる。復職後の安定した就業を支援する仕組みづくりや周囲の理解が求められるだろう。

中島 夕子(なかじま・ゆうこ)
フリーライター&エディター

ヘルス&ビューティ系の記事を中心に、Web、雑誌、単行本などの執筆を手掛ける。