リスクのある転職より副業への興味関心がアップ

一方で、注目を集めているのが“副業”だ。「転職より副業で、キャリアや収入を伸ばすというのが今のトレンドです」と高野さん。

エグゼクティブ女性と企業のマッチングサービスを展開するWaris共同代表の田中美和さんも、副業ニーズの高さを指摘する。

「リモートワークの普及が、今の働き方のキーワード。転職でも、リモートワークにこだわる女性が増えています。同時に、時間と場所の自由度が高まったことで、副業への関心が一気に強まりました」(田中さん)

Waris登録者の場合、副業希望者の職種は、「マーケティング、人事、経理などが多い」(田中さん)というが、副業人材を実際に活用する企業のニーズはどうなのか。

「企業の副業人材の求人は、デジタルマーケティングやインサイドセールス、PR・広報・人事などが目立ちます」(田中さん)

本業で培った圧倒的なスキルと実績を武器に

「40代以降の転職は年収が下がるリスクが高い」(高野さん)ことを考えると、無理に転職するよりも、副業で自己成長、収入アップを目指す。そんな働き方が、ニューノーマル時代のスタンダードとなりそうだ。

転職にしろ、副業にしろ、これからの時代を生き抜き、稼ぐために求められるものは何か。

田中さんは「まずは本業でできるだけ上のポジションを目指し、管理職としての経験値を重ねること。そのうえで転職や、本業+副業というのがベストです。副業の場合は、時間や働き方のセルフコントロールも必要。また、デジタルやAI(人工知能)など、新しいスキルや知識を身につけて、自分をアップデートし続けることも大切でしょう」と語る。

高野さんも、自己投資をして圧倒的な仕事のスキル・実績を持つことが、多様な働き方で稼ぐ力に直結するとアドバイスする。「エグゼクティブでなくても、経営の数字を読みこなす力は必要。プラスアルファで、LinkedInなど、ビジネス系のSNSで積極的に発信して自分のスキルをオープンにすることが、チャンスにつながります」(高野さん)

これからの時代の「稼ぐ力」に必要な4つのポイント
キープレイヤーズCEO・代表取締役 高野秀敏さん
高野秀敏(たかの・ひでとし)
キープレイヤーズ CEO・代表取締役
インテリジェンス入社を経て、キープレイヤーズ設立。人材エージェントとして、55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内外で実行。3000人以上の経営者の相談と、1万人以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。マネジャーとして、キャリアコンサルタントチームの運営・教育なども手がける。
Waris共同代表 田中美和さん
田中美和(たなか・みわ)
Waris共同代表
日経ホーム出版社(現・日経BP)に新卒で入社し、雑誌「日経ウーマン」の編集記者としてのべ3万人以上の働く女性の声に接する。同社退職後、2013年、人材エージェントWarisを創業。フリーランス女性と企業のマッチング、女性役員の紹介事業などに取り組む。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事。
工藤 千秋(くどう・ちあき)
フリーライター