リモートワークの普及や副業解禁など、コロナ禍で働き方が大きく変化した今。人生100年時代を生き抜くためにも、キャリアと収入を同時にアップできる働き方を目指したい。働きがいも、お金も手にできる女性になるためにどう動くべきか、そのヒントをお届けします。
オフィスで働くビジネスウーマン
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コロナ禍でどう変わった? 女性が稼げる業界・職種の動向【最新版】
世界的に「女性不況」ともいわれている中、これから有望な業界や職種は、どのような変化を見せているのか。アフターコロナを見据え、女性が稼げる仕事やそれに必要なスキルについて徹底分析する。

コロナ禍でも勝ち残れる業種とスキルは

長きにわたるコロナ禍で、世界的に飲食や観光、航空など、女性が活躍しやすい業種が打撃を受けている。自分が働く業種に不安を感じる場合、どう行動すべきなのだろうか。

転職サービス「doda」の喜多恭子編集長は、「業界別という捉え方で一概に勝ち組・負け組を分類するのは難しい。たしかに飲食業界への影響は大きいですが、業績を上げている企業もあります。この業界なら稼げるというよりも、その会社の業績、将来性をしっかり見極めることが重要です」と語る。

何より自分のスキルの棚卸しが重要

職種別女性の平均年収ランキングでは、コンサルタント、MR、法務、会計士などの専門職が上位を占める。

「これらはコロナ禍前とほぼ同じで、男女問わず活躍している方が多い職種です。ほかに女性の収入が高いのは、メーカーの研究職などです」

ニューノーマルに向け、急速に増えているのが、顧客の成長支援を目的とするカスタマーサクセスの求人だ。また、多くの企業が女性管理職の比率を上げたいと考えており、市場におけるマネジメントクラス以上の女性のニーズは高い。

稼げる仕事を手に入れるには、「まずは、何より自分のスキルの棚卸しが重要」で、そのうえで市場価値のあるスキルを増やしていくことが必要だ。

「弊社でスタートしたジョブごとの報酬水準データを提供するサービス『サラリーズ』で、個人の経験やスキルを“ワークタグ”として抽出してみました。年収800万円以上の女性のタグを300万円台の女性と比較すると、価値そのものを定義して生み出すスキルや、部下などに価値を発揮させるマネジメントのスキルを持っていることがわかります」

年収別女性のワークタグランキングと職種別女性の平均年収ランキング
パーソルキャリア執行役員・doda編集長 喜多恭子さん
喜多恭子(きだ・きょうこ)
パーソルキャリア 執行役員・doda編集長
1999年、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)入社。派遣・アウトソーシング事業、人材紹介事業などを経てアルバイト求人情報サービス「an」の事業部長に。中途採用領域、派遣領域、アルバイト・パート領域の全事業に携わり、2019年に執行役員・転職メディア事業部事業部長に就任。20年より現職。
転職vs.副業、アフターコロナで必要とされる「稼げるキャリア」とは?
社会情勢が不安定なコロナ禍で、女性にとって将来性のあるキャリア、働き方とはどのようなものか。ウィズコロナ、アフターコロナで注目の転職市場や副業の最新事情から、「稼ぐ」ための道を探る。

予想外に遅れている転職市場の回復

コロナ禍で先行き不透明な経済状況が続く中、転職市場はどのような動きを見せているのか。

転職エージェント・キープレイヤーズCEOの高野秀敏さんは、「大手企業の求人が予想以上に回復が遅れている」と分析。人材紹介大手3社の2020年度後期(10〜3月間)の実績では、転職紹介人数は3万60人、前年同期と比べても75.5%と落ち込んだままだ。

特にコロナ禍の直撃を受けた旅行、観光、飲食、ブライダル、交通、化粧品、建設などの業種は、業界全体の業績悪化が求人悪化に直結。

「全体的に採用抑制傾向の中で、IT系企業は人手が足りず、積極採用を推進。大手企業への転職もDX(デジタルトランスフォーメーション)やインターネット系は人材不足で、IT系キャリアを持つ人には狙い目です」(高野さん)

その中でも、女性役職者という肩書は、やはりどの企業にとっても採用のキラーワードとなっているという。女性役員・管理職登用を進めているが、その人材不足に悩む企業が多いのが理由だ。

「特にベンチャーは、CFOや経理部長などの役職者が圧倒的に不足しています。たとえば大企業の経理をやっていて、かつマネジメントスキルがある方であれば、そういう道にチャレンジしてキャリアアップを図るのも1つの方法です」(高野さん)

人材紹介大手3社の転職紹介実績の推移と首都圏における求人企業業種別転職紹介人数推移

リスクのある転職より副業への興味関心がアップ

一方で、注目を集めているのが“副業”だ。「転職より副業で、キャリアや収入を伸ばすというのが今のトレンドです」と高野さん。

エグゼクティブ女性と企業のマッチングサービスを展開するWaris共同代表の田中美和さんも、副業ニーズの高さを指摘する。

「リモートワークの普及が、今の働き方のキーワード。転職でも、リモートワークにこだわる女性が増えています。同時に、時間と場所の自由度が高まったことで、副業への関心が一気に強まりました」(田中さん)

Waris登録者の場合、副業希望者の職種は、「マーケティング、人事、経理などが多い」(田中さん)というが、副業人材を実際に活用する企業のニーズはどうなのか。

「企業の副業人材の求人は、デジタルマーケティングやインサイドセールス、PR・広報・人事などが目立ちます」(田中さん)

本業で培った圧倒的なスキルと実績を武器に

「40代以降の転職は年収が下がるリスクが高い」(高野さん)ことを考えると、無理に転職するよりも、副業で自己成長、収入アップを目指す。そんな働き方が、ニューノーマル時代のスタンダードとなりそうだ。

転職にしろ、副業にしろ、これからの時代を生き抜き、稼ぐために求められるものは何か。

田中さんは「まずは本業でできるだけ上のポジションを目指し、管理職としての経験値を重ねること。そのうえで転職や、本業+副業というのがベストです。副業の場合は、時間や働き方のセルフコントロールも必要。また、デジタルやAI(人工知能)など、新しいスキルや知識を身につけて、自分をアップデートし続けることも大切でしょう」と語る。

高野さんも、自己投資をして圧倒的な仕事のスキル・実績を持つことが、多様な働き方で稼ぐ力に直結するとアドバイスする。「エグゼクティブでなくても、経営の数字を読みこなす力は必要。プラスアルファで、LinkedInなど、ビジネス系のSNSで積極的に発信して自分のスキルをオープンにすることが、チャンスにつながります」(高野さん)

これからの時代の「稼ぐ力」に必要な4つのポイント
キープレイヤーズCEO・代表取締役 高野秀敏さん
高野秀敏(たかの・ひでとし)
キープレイヤーズ CEO・代表取締役
インテリジェンス入社を経て、キープレイヤーズ設立。人材エージェントとして、55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内外で実行。3000人以上の経営者の相談と、1万人以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。マネジャーとして、キャリアコンサルタントチームの運営・教育なども手がける。
Waris共同代表 田中美和さん
田中美和(たなか・みわ)
Waris共同代表
日経ホーム出版社(現・日経BP)に新卒で入社し、雑誌「日経ウーマン」の編集記者としてのべ3万人以上の働く女性の声に接する。同社退職後、2013年、人材エージェントWarisを創業。フリーランス女性と企業のマッチング、女性役員の紹介事業などに取り組む。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会理事。