離婚後に親を扶養、夫と死別のケースは「寡婦控除」
夫と離婚したあとに再婚しておらず、扶養親族がいる女性と、夫と死別したあとに再婚していない、もしくは夫の生死が明らかでない女性には、「寡婦控除」が適用されます。令和2年に改正され、対象となるのは、所得が500万円(給与収入677万7778円)以下で、住民票の続柄に「未届の夫」「未届の妻」など事実婚の記載がないことが条件です。控除額は27万円です。
「ひとり親控除」と「寡婦控除」は、いずれか1つしか受けることができず、両方の控除を受けることはできません。夫と離婚し、扶養家族として子どもがいる場合は、控除額が大きい「ひとり親控除」を受けるとよさそうです。子どもがいない場合は「ひとり親控除」の対象になりませんが、親を扶養している女性なら「寡婦控除」が受けられます。
なお、「寡婦控除」は女性に対する控除であり、妻と離別・死別したシングル男性は対象外です(ちょっと不公平ですね)。
親を扶養しているなら親の分も「扶養控除」
扶養家族の申告で見落としがちなのが、「親」の存在です。
親が経済的に自立している場合は対象外ですが、同居する親の生活費を負担している、別居している親に定期的に仕送りしている、という人は、親を扶養家族として扶養者控除を受けることができるのです。
条件は、収入が年金のみなら、年金額が158万円以下であることです。控除額は親の年齢によって異なり、65~70歳では38万円(住民税の計算では33万円)、70歳以上では、同居なら58万円(同45万円)、別居では48万円(同38万円)です。
ポイントは、自身の親でも、配偶者の親でも扶養家族にできること。所得税や住民税は、所得が多いほど税率が高くなる「累進課税」ですから、税率が高い人、つまり、所得が高い人が控除を受けた方が税の軽減効果が大きくなります。58万円の控除を受ける場合、税率10%の人なら軽減額は5万8000円、税率20%の人なら11万6000円です。妻の親だから妻が控除を受ける、などと決めつけず、所得の高い人が控除を受けるようにしましょう。別居している70歳以上の両親に定期的に仕送りしている、というケースでは96万円が控除されますから、かなり大きな負担軽減になります。