年末調整は面倒くさいが、タイパはよい
年末調整の季節がやってきました。毎年のことながら「とにかく面倒くさい……」と思われている方は多いのではないでしょうか。
けれど、年末調整はご自身の手取り収入を増やす大切なチャンスです。もしたった30分~1時間の作業で手取りを増やせるとしたら、かなりタイムパフォーマンスの高い作業ではないでしょうか。そのためには準備が肝心です。会社の締め切り間際になって慌てふためかないために、いまのうちから年末調整の準備を進めましょう。
年末調整とは、勤務先を通じて1年間に支払うべき所得税額の過不足を精算する手続きです。年末調整によって、払いすぎていた分は受け取り、不足する分は支払います。
納めるべき税金額は個々の事情によって調整されるルールとなっている一方、会社員の方は、毎月の給与から概算の所得税額が天引き(源泉徴収)されているため、正しく計算した税金額とはずれがあることがほとんどです。年末調整は、そのずれを調整し、本来納めるべき税金額にあわせる大切なプロセスなのです。つまり、正しく申告しなければ、取り返せるはずのお金が取り返せないということです。
年末調整は以下のようなプロセスで行います(図表1)。
払う必要のない税金を“取り戻す”
ざっくり説明すると、概ね10月ころから書類の配布・記入・提出が始まります。その後、11月~12月頃に締め切られ、12月に支給されるお給料とあわせて差額の精算が行われる流れです。ご自身で記入する書類は3~4枚あり、「面倒くさい……」と感じるのはまさにこの書類への記入作業。ぎっしり文字のつまった書面を見て、何のためにやらなければいけないのか、わからなければおっくうになるのは当たり前です。
年末調整の書類を書くべき理由。シンプルに言えば、「控除」を申告するためです。もっとざっくり言うと、払う必要がないのに支払っている税金を取り戻すためです。納税額をつみあげたブロックとすると、控除は、つみあげたものからとり外すことができるブロックです。つまり取り外した分、納税額が小さくなります。
とり外せるものは、個別の事情により異なるため、利用できるものを自分で確認して、申告する必要があります。
年末調整で申告できる所得控除はたくさんありますが、個々人の状況により使えるものは異なります。以下の表は年末調整で使える所得控除と税額控除をまとめたものです。ご自身の状況を振り返りながら、使えそうな控除をさがしてみてください(図表2)。