少しでも年金を増やす方法はないか。ファイナンシャルプランナーの井上ヨウスケさんは「学生時代など国民年金の未納期間がある人は、それを埋めることで受け取れる年金額を増やすことができる。追加の保険料を納めなくても自動的に未納部分を補う方法がある」という――。
年金手帳と電卓、数万円の現金
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簡単に未納部分を埋める方法がある

国民年金の未納期間があり、「本当は追納したいけれども追納期間が過ぎてしまった……」と悩んでいる方は多いです。実は簡単に未納分を埋められる方法があることをご存じでしょうか。

先に結論を言うと、60歳以降も働く方限定にはなりますが、実質的に未納期間を補填できる「経過的加算」という仕組みがあり、それを活用することで年金額を増やすことができます。

未納期間があり、さらに60歳以降も働くとお考えの方はぜひ最後まで読んでいただければと思います。

年金の未納部分は追納期間が決まっている

まず年金の基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。年金には大きく分けて基礎年金(国民年金)と厚生年金との2種類があります(図表1)。

基礎年金(国民年金)は20歳から60歳までの40年間(480カ月)の加入が義務となっています。一方、厚生年金は16歳になる年の4月1日から加入でき、70歳まで加入可能となっています。

厚生年金に加入して保険料を納めると基礎年金と厚生年金の二つに加入することになり、自営業者などで国民年金に加入する場合は、基礎年金のみに加入することになります。

【図表】年金の基本的な仕組み
図表=筆者作成

一般的には20歳から22歳頃まで大学生で国民年金に加入する方が多く、この期間に学生納付特例を利用して納付免除を受けたり、または単純に滞納してしまう方も少なくありません。

滞納は2年間のみ追納可能ですが、期間が過ぎれば納付することができず、未納期間となります。また学生納付特例などの免除・猶予を受けた場合でも、追納できる期間は10年間となっており、その期間を過ぎると未納期間となります。

年金局調べ(2024年時点)によると、学生納付特例を利用した学生のうち、8.9%しか追納しておらず、学生納付特例を使った方の多くは未納にしていることがわかります。