年末調整できないものは、年が明けたら確定申告を

そのほか、医療費の自己負担が一定額以上だった場合には「医療費控除」や、住宅ローンを組んで自宅を購入・リフォームした場合には「住宅ローン控除」が受けられます。いずれも年末調整では手続きできず、確定申告が必要です(住宅ローン控除は2年目からは年末調整で手続き可能)。

ちなみに住宅ローン控除については、新型コロナウイルスの影響で入居が間に合わない場合、一定の期日までに契約していれば入居期限が2022年12月31日に延長されるなどの措置が設けられています。

また、ふるさと納税も、税金に大きく関係する制度です。1年間の寄付先が5自治体以内の場合に利用できる「ワンストップ特例制度」を選択した人は、年末調整での手続きは不要です。税の手続きなく、応援できる自治体に寄附ができ、返礼品というお得も受けられるのは、かなり魅力ですね。なお、ワンストップ特例制度を利用していない人は、年末調整ではなく、確定申告が必要ですから、忘れず手続きしてください。

申請し忘れなどは確定申告で手続きできる

受けられる控除はすぐに受けるのが最もお得ですが、「年末調整で申告し損ねた」という場合も、確定申告を行えば、控除を受けることができます。

払い過ぎた税を戻してもらうための申告は、控除を受けられる翌年から数えて5年以内であれば確定申告できるということも覚えておきたいポイント。「還付申告」の手続は、時期を問わず、年間を通じて可能です。

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。