どうやって「氏の選択」を届け出るか
選択的夫婦別姓制度になった場合、夫婦が改姓するかしないかは、結婚する時に何らかの形でその意思を表明する必要があります。選択肢は2つ考えられます。
B)婚姻届は変更しない。夫婦別姓を希望する人は、「婚姻後の夫婦の氏」の欄は、「夫の氏」「妻の氏」のどちらかにチェックを入れて提出するが、別途、「婚姻前に使っていた氏を使い続けたい」ことを届け出る。(婚姻届で、「夫の氏」「妻の氏」どちらかにチェックを入れるのは、戸籍筆頭者を選択するため。子どもは戸籍筆頭者の氏を引き継ぐ。)
パッと聞くとAの方がシンプルで良さそうですが、私はBを推します。
その理由としてはまず、現行の現場運用と親和性が高いことが挙げられます。現在でも似たような運用は行われており、例えば離婚後も婚姻時の姓を名乗り続けたい場合は、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出すれば受け付けてくれます。また、外国人と日本人が結婚した場合、国内では原則別姓となるのですが、同姓にしたい時は婚姻届とは別に「氏の変更届」を役所や大使館に出せば受け付けて処理してくれます。
Bの方法を用いれば、婚姻届や離婚届とは別に「改姓する/しない」を届け出る上記の例と同じように処理できますので、業務の一貫性を保ちやすいでしょう。婚姻届のフォーマットや、受け付けの仕方を変えずに済むのも利点です。
さらに、別途届け出る形にしておけば、改姓したくない人が自分自身で決定して届け出られる、という利点があります。婚姻届は2人で書くので夫婦の合意が必要ですが、改姓するかしないかを届け出制にすれば、こちらは合意が不要です。「個人の名前は本人の意思を尊重する」という基本スタンスを表現できます。