長野東支店長では毎日、朝と夕方に「朝礼」「夕礼」のミーティングを行っている。理念・ビジョン・感動スタンダード(行動指針)の唱和を通して、一番大切なことを確認しあう。進行役は職員が持ち回りで務める。
撮影=大井川茂兵衛
長野東支店長では毎日、朝と夕方に「朝礼」「夕礼」のミーティングを行っている。理念・ビジョン・感動スタンダード(行動指針)の唱和を通して、一番大切なことを確認し合う。進行役は職員が持ち回りで務める。

「支店長が一番下」になる組織とは

私が茅野支店長に赴任したのは2016年4月のこと。職員が15名、全員の顔や行動が見えるサイズの支店です。

支店長は初めての経験なので、手探り状態でしたが、「支店を職員が主体的に働く組織に変える」というミッションは、しっかりと意識して臨みました。

そして、どういう支店にしたいのか、職員にこう伝えました。

「方針はリーダーが決めますが、そのやり方を考えて、実行に移すのは職員のみなさんです。茅野支店の主役はあなたがたなのです。日頃から接していてお客様のことを一番よく知っている職員のみなさんから、お客様に関する詳しい情報を、役席(次長などのマネジャー職のこと)や支店長にどんどん上げてください」。

そのことをよくわかってもらうために、私が考えた新しい組織図を提示しました。職員が頂点にいて、支店長が最下位に位置するという逆ピラミッド型の組織です。

支店長を頂点とするピラミッド型組織で「指示待ち」で仕事をするのが当たり前になっていた職員たちには、天地が逆さまになるような話で、驚いたことでしょう。

「いきいき、のびのび、ハッピー大作戦」を実行しますと宣言し、私の支店改革はスタートしました。

支店改革を進めるにあたり、大事にすべきことをいくつか心に刻みつけておきました。

その1つが「理念経営」の徹底です。

組合員をはじめとするお客様とその家族に幸せになっていただく。それが、長野ろうきんのビジョン「感動No.1バンクになる」です。それを踏まえて、茅野支店のビジョンを次のように掲げました。「茅野支店を地域のみんなが使い、幸せを実感している状態を作り出す」。

ビジョンに向けて重視したのが、日々のベクトル合わせでした。基本は、「感謝」「挨拶、笑顔」など職員の行動指針が記されている「感動スタンダード」を毎日唱和すること。その際、毎回1人を指名し、感動したことをプレゼンしてもらうようにし、意識づけを図りました。

また、「ベクトル合わせのDVD」を、毎月の職員会議で見るようにしました。これは、長野ろうきんが金融機関として何を目指していくのか、職員にもわかる目線で、現常務理事の西澤が営業統括部長時代に作成したものです。日々の業務に流されがちなところを、これを見ることで目的を再確認しあいました。このDVDには各支店長のメッセージが収録されていて、私が大切にしている4つのこと「志」「利他の心」「笑顔」「チーム力」を、職員に伝えるいい機会にもなりました。