「トレンドをつくる」から「顧客の声を聞く」へ
いままでのアパレルは「自分たちがトレンドをつくるのだ」という発信の姿勢が目立ちましたが、ユニクロやGUはユーザーにインタビューをしたりして、顧客の声をよく聞いています。それが商品づくりと店舗展開に生かされている。
また、子ども服ではありませんが、ユニクロのワイヤレスブラも新たな顧客を創造した例です。アンダーにワイヤーを入れない代わり、つけ心地のラクなワイヤレスブラは、胸を寄せて上げたい世代よりは、もう少し上の世代に愛用されるアイテムでした。しかしユニクロはブラトップで培った立体カップの技術を生かし、ワイヤーなしでもホールド力のあるワイヤレスブラの開発に成功。若い世代はブラトップに慣れていますから、その延長上にあるワイヤレスブラを抵抗なく受け入れている。本当によく考えられていると思います。
「シニアの断捨離」を狙うメルカリ
フリマアプリのメルカリも新しいユーザーを開拓しようとしています。いままでメルカリに限らずフリマアプリの主なユーザーは20~30代の女性でした。しかしその層にすでにフリマアプリがいきわたった今、成長が鈍化したメルカリは、新たな顧客を開拓する必要に迫られていました。そこでターゲットに設定したのがシニア層です。
この世代の人たちは家にいる時間が長く、まだ「終活」には早いとしても、「断捨離をして家のなかを片付けようかな」と思っています。だからいったんユーザーになると、出品数が20代のユーザーよりはるかに多い。さらには高額なお宝を放出してくれるので、取引金額も上がる。
ただしメルカリを利用したことがない人にとって、買うほうはまだ簡単ですが、出品するほうは手続きが大変。断捨離をしたい60代は出品することのほうが多いのに、この出品の敷居が高いのです。