その後、執行役員となりダイバーシティを推進したのは、冒頭のとおり。就任直後に大病が発覚したが、その闘病経験を活かし、入院や通院をしながら働ける制度も作った。

育休を取得した男性社員の満足度は97%

男性の育休制度を導入するときは、最初は管理職から「部下本人(男性)は休みたくないと言っている」という反応が来たという。

「現場によって温度差はあっても、いったん決まってしまえば、なんとかしようと動いてくれる。実際に育休を取得した男性社員の満足度は97%なんです。そうして夫婦が互いのキャリアを認め合い、サステイナブルな家庭をつくり、社会と家庭の両方に軸足を置けるようにしておかなければならないと思いますね」

ずっと住める家をつくること。ずっと働ける会社にすること。この2つにかける思いは同じなのかもしれない。「本当は自信がなく、くよくよするタイプ」と言う伊藤さんが47年の経験を活かしてつくり上げた“家”は、多くの人にとって住みやすい場所になっているようだ。

■役員の素顔に迫るQ&A
仕事用のGUCCIトートバッグ

Q 好きな言葉、座右の銘
「なりたかった自分になるのに、遅すぎるということはない」(ジョージ・エリオット)

Q 趣味
ガーデニング

Q ストレス解消法
宝塚観劇(年に10回ほど)

Q 愛読書
1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』エリック・シュミットほか著

Q Favorite item
仕事用のGUCCIトートバッグ

文=小田慶子 撮影=干川 修

伊藤 みどり(いとう・みどり)
積水ハウス 執行役員 ダイバーシティ推進担当

1974年、積水ハウス入社。84年、営業として総合職に転換し個人住宅の営業に。営業成果累積300棟を達成し、2006年に人事部で女性活躍推進グループリーダーに。女性の管理職育成や男性の育児休暇取得を推進する。18年、執行役員に就任。20年より現職。