感染症蔓延による行動制限も最小限に

ユースシティで生み出されるさまざまなアイデアやイノベーションの芽、文化、ブームといったものが停滞する日本の起爆剤や起死回生策となるだろう。

中高年の入居を認めないので、新型コロナウイルスのような感染症が再び蔓延することになったとしても、ユースシティ内にいる限りは、行動の制限をそれほど受けることにはならないだろう。

感染症に対する“シェルター”の役割を果たすことにもなる。

感染症は今後も幾度となく日本を襲うことが予想される。そのたびに若い世代の行動に制限がかかったのでは、日本社会の衰退は早まるばかりだ。

マスクを着用して出勤する若い女性
写真=iStock.com/monzenmachi
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ポイントは、単に集まり住むだけでなく、住民同士のコミュニケーションが進むよう交流の場を仕掛け、機会を設けることである。

すでに個々の企業レベルでは、異業種が集まって多くの大企業の若手・中堅有志社員が業種の垣根を越えて草の根の活動として交流する「ONE JAPAN」のような組織も登場している。

いくつかの企業が共同で社宅を運営して人脈の拡大を図る事例も見られるが、これを「都市」として大規模に行おうということだ。

時おり集まるのでなく、アクティブな年齢層が生活をともにすることになれば、日本社会に与えるインパクトは桁違いに大きくなる。若い世代が寄り集まるので、独身者にとっては生涯の伴侶が見つかることになるかもしれない。

イノベーションの源泉

出資する企業のメリットも大きい。若手社員が異分野の若手と交流する場として活用できるだけでなく、若い世代の消費動向やニーズに関するデータを収集することが可能となる。

トヨタ自動車が、静岡県裾野市にあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」(Woven City)の建設を進めているが、各社の新商品や新製品を使ったハイテクな実験都市としての要素が加味されたならば、イノベーションは進みやすくなり、新たなカルチャーの発信基地となる。新たな成長産業も生まれよう。

若い世代が集まっているので、ユースシティに進出する店舗は多いだろう。子供の数も他エリアと比べれば多くなるので、子供向けのサービスや商品を扱う企業も多くなるだろう。医療機関も産科や小児科が進出しよう。アンテナショップの出店も想定される。