大都市では超高層キャンパスにする手も
共同キャンパスの立地については、政令指定都市や県庁所在地に建設することを想定している。中心市街地の賑わいづくりにも大きく貢献し得るので、各自治体の再開発事業と連携して、なるべく交通の要衝である繁華街周辺に建設することだ。
キャンパスといっても、必ずしも広大な土地を必要とするわけではない。超高層ビルに入居する方式でも十分である。具体的に説明するなら、東京の新宿駅から徒歩5分の距離に、地上28階、地下6階建てという超高層キャンパスを持つ、工学院大学のようなスタイルである。
学生は“日本の未来”である
中心市街地に共同キャンパスができれば、地域の企業や店舗にとってはアルバイトを確保しやすくなるし、学生にとってもアルバイトと授業の両立がしやすくなるメリットがある。美術館など文化施設にもアクセスしやすくなる。オフィス街とも近いので、企業との交流が図れれば、スタートアップ企業をつくる学生が出てくるかもしれない。
学生は新しい消費スタイルの火付け役なので、20歳前後の人が絶えず集まる一大拠点の誕生は企業にとってもビッグチャンスとなるだろう。学生たちの消費を当て込んで、学生向けの商品を扱う店舗が周辺に続々と誕生すれば、地域経済の活性化策ともなろう。
学生は“日本の未来”である。彼らと一体となって街づくりを考えていくことが、老いゆく人口減少日本には極めて重要である。
1963年生まれ。中央大学卒業。産経新聞社入社後、同社論説委員などを経て、人口減少対策総合研究所理事長。高知大学客員教授、大正大学客員教授のほか、厚労省など政府の有識者会議委員も務める。2014年の「ファイザー医学記事賞」大賞をはじめ受賞多数。主な著書にベストセラーの『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』(いずれも講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)、『世界100年カレンダー 少子高齢化する地球でこれから起きること』(朝日新書)など。