健康第一でキャリアプランを考える

パワハラに近い行為で周囲にダメージを与えている上司の方ではなく、自分が異動することについて、A子さんは「なんで私のほうが……」という思いもあったようですが、とにかく自分の健康が最優先です。新天地で気持ちも新たにやっていくほうが健康的ですし、何よりも治療になります。

第44回エランドール賞の授賞式にゲストとして登壇した女優の深田恭子さん(東京都新宿区の京王プラザ)
第44回エランドール賞の授賞式にゲストとして登壇した女優の深田恭子さん(東京都新宿区の京王プラザ)写真=時事通信フォト

なかには「異動することでキャリアに傷がつくのでは」と心配される方もいますが、では元の場所に戻るのかというと、それも難しい。元の職場に戻ったけれど、また体調を崩して配置転換を希望する人もいますし、退職してしまう人もいます。

思い切って転職というのも、選択肢としては十分にありです。やはり健康第一なのは間違いありませんので、そういった選択肢も持ちながら、キャリアプランを考えていただければいいかなと思います。

適応障害は誰がなってもおかしくないですし、どこにいてもなり得る病気です。深田恭子さんがそうだったかはわかりませんが、周りに気をつかって頑張ってしまう人ほどなりやすいので、ストレスがたまって肌が荒れる、頭痛がするなど、少しでも身体的な症状が出てきたら早めに産業医に相談するといいですね。そうすれば配置転換してもらうか、もう少し様子を見るか、建設的に話ができると思います。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務