表向きの差別は解消されても残る昇進の壁

その後、改正雇均法が施行され、採用や昇進・昇格においては表面上の差別はなくなったという。しかし、女性に対する会社の姿勢が変わったのかといえばそうではない。元人事部長は「女性総合職にも優秀な人材が入ってくるようになりましたが、管理職は男性部下と違い、女性には腫れ物に触るような感じで積極的に指導をする人が少なく、重要な仕事を任せようとしない。結果的に同期で課長に昇進するのは男性が多く、女性が少ない。昇進のカベがあるために結果的に賃金格差も開いた状態が続いた」と語る。

では現在はどうなのか。図表1を見ていただきたい。

資料出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を元に労働政策研究・研修機構が作成。性別、年齢階級による賃金カーブ[ 1976年、1995年、2019年 ] (一般労働者、所定内給与額)
資料出所=厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を元に労働政策研究・研修機構が作成。性別、年齢階級による賃金カーブ[1976年、1995年、2019年](一般労働者、所定内給与額)

20~24歳の所定内給与額を100とした場合の男性と女性の年齢別の賃金カーブを描いたものだが、1976年、1995年に比べて2019年はだいぶ賃金格差は縮小してきているが、それでも大きな格差が開いている。

日本企業に長年染みついた性別役割分業意識と女性の昇進などに対するアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が簡単に抜けきれるものではないことを物語っているといえるだろう。

溝上 憲文(みぞうえ・のりふみ)
人事ジャーナリスト

1958年、鹿児島県生まれ。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。著書に『人事部はここを見ている!』など。