女性をおとしめ男同士の連帯を強める「ホモソ」の世界

【白河】私も思い出したんですが、以前何かの飲み会の席で、若い男性が同僚の女性をからかうようなことを言ったんです。男同士の冗談ってやつですね。

そういうとき、私はストップをかけて、「それ以上言わない方がいいよ」と言うようにしているんです。なぜなら、それがその人たちのためでもあるから。こんな感覚を持ったままで彼らが偉くなって上司になると、周りも困ると思うんです。

そのとき、「ストップ」って言ったら、その男性が「いや、つい男ウケを狙っちゃうんです」って。それで気がついた。男が男にウケるために、女性差別的なことを言う。こういう構造だったんだって。

【笛美】その男性、ご自身でそれをわかっていて、ちゃんと言語化できるなんて素直ですね。

【白河】確かにそうですね。自分が男ウケを狙っていたって、わかっているわけですよね。

【笛美】そういう場面ってよくありますよね。たとえばときどき、男性ばかりで女性は私一人という会議があるんですが、男性からは「女子大生が○○する」「キャビンアテンダントが○○する」のような、明らかに最終的には却下されそうな、セクハラっぽい企画が出てくることがあるんですよ。その企画を出した本人も、そんな企画は最終的には通らないとわかって出しているけれど、それが出たときは会議の場がすごく盛り上がる。

【白河】会議のためだけの企画なんだ。

【笛美】そうなんです。通らない企画だけど、男ウケはいいので、出した本人のポイントは上がるという。そんなふうに男ウケのために女性が使われるのを見ると腹が立ちます。

【白河】そうなんですよ。女性をネタにしておとしめて男同士の連帯を深める「ホモソーシャル」な構図ですよね。それが連綿と続いてきてしまった。今回は、それをいかに変えるかを考えないといけないんです。問題は森さん個人じゃないんですよね。

構成=池田 純子

白河 桃子(しらかわ・とうこ)
相模女子大学大学院特任教授、女性活躍ジャーナリスト

1961年生まれ。「働き方改革実現会議」など政府の政策策定に参画。婚活、妊活の提唱者。著書に『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP研究所)など多数。

笛美(ふえみ)

2020年5月8日にTwitterに投稿した「#検察庁法改正案に抗議します」を作った張本人。ハッシュタグは瞬く間に広がって、400万を超すツイートを生み出し、Twitterトレンド大賞2020の2位に。現在も広告関連の仕事をしている。