五輪をボイコットされてもおかしくない
【白河】私は森前会長発言を聞いた瞬間に、「海外の選手からオリンピックをボイコットされても、おかしくないくらいの事態だな」と思いました。
2014年のソチ冬季五輪では、ロシアが反同性愛法を成立させたことに抗議したボイコットの動きがありました。まさに同じことが起きるぐらいの大ごとだと思ったんです。でも最初は、女性のほうが遠慮して「私たちの話って長いんでしょうか……」って……。
【笛美】自分のせいにしちゃうんですよね。
【白河】でも、そのあとにちゃんと大ごとになってくれたので、やっぱり時代が変わったなと思いました。
今回、「森さんはああいう人だから仕方ない」とみんながスルーしなかったのは、やはり在日の外国大使館が、「#dontbesilent」(黙らないで)という投稿をして女性への支持を表明してくれたことや、オリンピックの放映権をもつアメリカの放送局NBCなどがアウトだと言ったことが大きかった。BLM(Black Lives Matter)運動から、「(差別的な言動があったのに)沈黙していることは、差別に加担していることと同じ」とみなされる雰囲気ができています。
そしてこれは明らかに、森喜朗さん個人がどうこうという問題ではなく、人権問題であり女性差別であるという世界的な認識が広がりました。
こうした世界的な動きに対して、テレビのコメンテーターの男性が「ええ? そんなに大ごとなの?」と驚いていましたが(苦笑)。
「わきまえない女」たちの反乱
【白河】それにしても、女性の「わきまえ癖」って何でしょうね。以前、ある若い女性が「男の人と並び立つつもりはないけど」って、ふとおっしゃったんです。「男性が立っている地面にはすごい盛り土がしてあるだけで、もともとは同じ高さなんですけど」と思ったんですが。
【笛美】でも私、そう言ってしまった女性の気持ちがわかる気がします。女性は、「男性よりちょっとできないほうがかわいい」と言われて育っています。「男性と張り合うつもりはない」って言っておいたほうがいいと、思ってしまいますよね。私も思っていましたし。
【白河】私も若い頃は思っていました。
でも、こうやってツイッターで「#わきまえない女」というハッシュタグが立って、「わきまえない」と宣言する女性たちがたくさん出てきています。笛美さんもツイッターで、「わきまえない笛美」と宣言されていますよね。
【笛美】私、実は「わきまえない女」って努力目標なんですよね。そうしたくないのに、やっぱりわきまえてしまう自分を何度も突き付けられて……。言葉だけでもいいから「わきまえない女」ってハッシュタグをつけてみたいと思ったんです。この言葉がツイッターで流れてきたときに、「わぁ、かっこい。私もこれを言いたい」という気持ちになったんです。でも実際は、やっぱりわきまえてしまっているという……。
【白河】でもツイッターで、このブルーのお顔で堂々と語っているじゃないですか。素晴らしいと思いますよ。
【笛美】私、堂々と語っています? なんかへっぽこじゃないですか?
【白河】全然そんなことはないと思いますよ!