夫が支える家庭生活

【沖田】友達に39歳の発達の子がいます。彼女は恋多き女ですぐ惚れる。ほぼ一目惚れだし、向こうが好きって言ったら「私も好き!」。今はグループホームで知り合った21歳の知的障害の子といい仲で、結婚したがってる。親は反対しています。障害者どうしでどう生活するんだと。でもふたりは盛り上がってるから、これから大変だなあって。

【岩波】第一関門は、家事ですね。

【沖田】私はまったくできないです!

【岩波】沖田さんのところは、ご主人がほぼ全面的にやっているそうですね。

【沖田】小島慶子さんのご主人もそうですよね? 最高だと思います。

冷蔵庫開けるじゃないですか、私、目薬の位置しかわからないんです。どこに何が入っているのか、もう全然わからない。醤油とってくれって言われても、どこにあるんだろうって。

【岩波】国立大学の修士課程を出ているインテリの女性がいまして、発達障害があり結婚されているんですが、やっぱり家事は全然ダメなのです。バイオベンチャー系の企業で仕事をしていて、収入も普通にある。でも毎月、収入よりも支出のほうが多くて、何に使っているのかもわからないというのです。夫が家計をコントロールしているので、なんとかうまくいっている。

【沖田】私も、買い物依存があります。

【岩波】別の女性になりますが、同じものを、必要ないのにいくつも買っちゃうというんです。こういう計画性のない買い方をする人は、ときどきいます。

となると、家庭生活は夫が支える部分が、かなり多くなります。だから夫がいなくなると大変。夫がたまたま病気で何週間か入院したとき、彼女は仕事に行くとき着るものがなくなったそうです。毎日ユニクロで下着から何から全部買って出勤していたので、ものすごくお金がかかったとか。

【沖田】どこに脱いでるんでしょうね?

【岩波】たぶん床に積み重ねてそのままなのでしょう。洗濯も何もやれないし、やらない。

【沖田】私、洗濯だけはしますね。最近ものすごいホコリがつくんですけど、なんでだろう? 見ないフリしてます(笑)。

『医者も親も気づかない 女子の発達障害』より
イラスト=沖田×華

女性同士の人間関係もツラかった

【岩波】会社でも、ちょっとしたものを整理することなどは、女性の役割として求められますよね。それを負担に感じる方は、少なからずいるんじゃないかと思います。表面化しにくいけれども。

【沖田】私もむっちゃ気を使ってやっとできるぐらいだから、大変だろうな。

女子会とか、本当に意味がわからないです。酒の席で、ごはん食べて、音楽も聴きながら話をしないといけない。なぜみんな同時並行できるのか⁉

【岩波】しかも本音は言ってはならない。

【沖田】あれは情報共有だけの場なんですよね。今、仕事がどうで、みたいな。まったくついていけなくて、延々ごはん食べてます。延々と食って飲んで、「うんうん」って、酔っぱらって帰る。

真面目に話を聞いていたこともあったんですけど、みんな「前回のドラマもそうだけど……」って、「前回のドラマ」だけで何のことかわかるんですよね。

【岩波】わかったフリして、合わせている人も結構いるんじゃないかな。

【沖田】それが不思議でしょうがなくて。なるべくしゃべらないほうがトラブルが少ないとよくわかったので、困ったときは無理にしゃべらないと決めてます。