週1回の新幹線通勤のかたわらリモートワークの4日でとことん生産性をアップ

不確実な将来に備え自律的に働き方を選ぶ

夫が勤務するライオンの研究所が神奈川・小田原にあり、子育てに適した環境を考えて25年以上前からそこに住んでいます。コロナ禍前は新幹線で小田原から東京まで通い、さらに乗り換えて出勤、という毎日でした。新幹線での通勤時間を、スマホでニュースを見たり、英語の勉強をしたり、趣味のバレエの振り付けを覚えたりという時間にあてていましたが、現在は週4日のリモートワーク。随分時間を有効に使えるようになりました。

ライオン 執行役員 人材開発センター部長 小池 陽子さん
小池陽子さん

夫とはよく話し合います。在宅時の雑談の相手になってくれ、気晴らしになるのでリモートワークの能率も上がります。食事や片付けも2人でするので効率的。私がのび太だとすると、夫はドラえもん(笑)。例えばリモートワークに備えて「こういうデスク環境だといいなあ」と話したら、大きなモニターやパソコンを整えてくれました。本当にありがたいです。

リモートワークになって会社の業務をかなり見直しました。まずは形式的な会議の削減。会議室を取る手間や移動の時間がカットできたことが大きいです。そのかわり部下との1対1の対話、いわゆる1on1のオンラインミーティングを週に2、3回ほど行うようにしています。通常のオフィスワークでは、何十人もいる部下全員となかなか1on1をする時間がなかったのですが、オンラインなら時間さえ設定すれば、誰にも邪魔されず質の高い会話が可能です。部下だけでなく、会社の経営層とも積極的な話し合いの場を持てるようになりました。

1度、工夫してみたのは、会議の背景に議題のテーマを入れてみたこと。テーマが明確なので話し合いが脱線せず時間内にきっちりと終わりました。ほかには、終業時間の前に毎日30分ほど、部内のチームリーダー数人とミーティングを行う。一日の業務報告をしてもらい、その日に解決すべきことはその日に答えを出すように心がけています。こうすることで、意思決定のスピードアップとコミュニケーション強化も図れました。これも以前はやっていなかったので、やって良かった!と実感しています。

当分リモートワークに主軸を置いた勤務が続くと思いますが、コロナ禍での経験は、働き方についてじっくりと考えるきっかけになりました。今後も周りの声を聞きながら積極的に業務改善を行っていきたい。不確実な将来に備えて、私自身だけでなく、社員全員が“自律的な働き方”を目指せるようにしたいのです。

A3の紙に、横軸は時間、縦軸は空間としてクロスする線を引く。議題が過去のことか将来のことかなどの時間的な位置、部署単位のことか会社のことかなどの空間的な位置を把握して交わるところをポイント。この方法で議題の“位置”を可視化して議論を進める。

小池さんのタイムマネジメントの極意
小池 陽子(こいけ・ようこ)
ライオン 執行役員 人材開発センター部長
東京理科大学薬学部卒業。1987年ライオン入社。薬品事業のブランドマネジャー、ビューティケア事業部長を経て、2020年より現職。